Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

美湾

2017-11-14 16:40:27 | 日記

  出会ったのは、家族連れのお母様と息子さんでした。お母様とご兄弟の弟さんの方との2人だったのです。遠目には友達同士、若い子達2人連れの一行かなと思う様な雰囲気でした。

  向こうでも気付かれて、あらと言う感じで笑顔が漏れました。如何したんですかというようなお母様の問いかけに、散歩しているんですと私は答えました。お互いに相手のカジュアルな服装を見て、考える事は皆同じなのかなと私は思いました。

「その格好は?」

というお母様の方の問いかけに、

「この格好なら盗難などに遭い難いと思ったんです。」

と私。目立たない服装だと思ってこれにしたのだと答えました。お互いに如何にもその辺の家から出て来たような着の身着のままな服装です。

 また、お母様がこれから何処へ行くのかと尋ねられるので、私は商店街の方まで行ってみようと思いますと答えました。ここでこのご家族と少し立ち話をして、私はじゃあと2人と別れると、地図を確かめながら商店の方へと向かいました。道を確かめながら海岸線から離れると、人通りは多くなり、商店らしいお店の通りも見え始めました。それとなく目に入る商品(小物やお土産用が多かったように思います。)を眺めて、通りの奥へあまり深入りしない内に私は戻り始めました。

 ふと気付くと。向かい側に賑やかに人が集う別の通りの入り口が見えました、その通りには椅子やテーブルが並べられ、飲食する現地の人々が皆で雑談し楽しんでいる雰囲気でした。どちらかというとカフェではなく、暇な成人男性が殆どでした。皆飲酒している様子です。ビアガーデンに近い雰囲気でした。

 『如何しよう。』と私は思いました。その固まりの側に近寄る勇気が出ません。近くへ行ってその通りがどのようなところなのかもっとよく確かめたい誘惑に駆られましたが、飲酒中の成人男性が多くいるらしい場所へ近付かない方が良いだろうと判断しました。私はさり気無くにこっと微笑むと、遠目に通りの混雑を眺めました。腕の時計を見ると、もうホテルへ帰ろうかなと思いました。私は十分散歩したと思い、大体の帰る方向は分かっていましたから、のんびりと歩き出しました。異国の地で、ホテルの外の雰囲気に少し触れられただけでも私は満足でした。未知への冒険より、何事も無いよう安全を優先させるとホテルまで帰って来ました。

 その後、この日の予定ではホテルで夕食となっていますから、時間通り皆でホテルのレストランで夕食をとったようです。 (旅行社から頂いたこの地図をもとに回っていたと思います。黄色い道の中を散策していたと思います。)

 

 


美湾

2017-11-14 16:07:52 | 日記

  堤防沿いの道は綺麗な舗装道路で、人影も無く見通しの良い明るく開けた道路でした。少し歩くと、反対方向から2人連れがやって来るのが視界に入りました。私はどきりと警戒心が起きました。内心緊張して脇道など探りながら歩を緩めると、向こうもどきっとした感じで私と同じ様な素振りでした。立ち止まりつつ後方を振り返ったりしています。

  「戻った方がいいんじゃない。」

小さな声でしたが、そんな女性の声が聞こえました。それとなく見ると、男女の2人連れのようです。私と同じようなカジュアルでやや草臥れた普段着の服装です。私はと言うとチェックのバミューダを穿き、上は半袖のTシャツかポロシャツを着ていました。上下共私の持ち物では既に着慣れた服ですが、古び過ぎない衣類を選んで持って来ていました。身に付けた無印の衣類で所持品の無さや現地の一般人の雰囲気を装っていました。

  『現地の日本人かしら?』

私と同じような服装と、聞こえて来た日本語に、ホッとしてよくよく観察して見ると、あれっと思いました。私は近付いてくる2人に、にこやかに挨拶しました。


美湾

2017-11-14 11:56:22 | 日記

 防波堤は旅行社のデスクのあるホテル近くにありました。道を歩いているとすぐに目についたので、私は予定していた海岸への道では無く、気持ちを変えて、その防波堤に向かってすぐに海へと向かいました。防波堤までは距離にして10メートルも無かったと思います。

 私は防波堤に着いて、その向こうに美しいケアンズの夏の海原が広がっている事を期待すると、それっと爽やかな笑顔で海面を覗き込みました。そして直ぐにがっくりと頭を落とし、防波堤に両手を着きました。防波堤の向こうにはどろどろとした泥が、10、15、事によると20メートル以上も広がっていました。海と思しき水色はかなり向こうにあり、防波堤の下は水中を覗き込むことなどできない泥土の状態でした。

 『そうか、干潮という物が有る海なのね。』もしくは何時もこのような状態なのかもしれない。そう思うと日本海育ちで干潟を見たことのない私は、国以前に土地の海岸線の違いを感じてがっくりと肩を落としてしまいました。

 しかし、直ぐに、こんな事で負けてどうする!と、気分を奮い立たせました。まだ見たことのない干潟という物を生れて初めて目に出来たのだから、嬉しい初体験が1つ出来たと思おうじゃないか、これこそが私にとっての未曽有の体験というものだわと、笑って決意しました。

 これも世にある1つの光景だ。と生まれて初めて見たケアンズの干潟を鑑賞することにしました。そして、直ぐに『美しくない』と、泥の干潟に飽きてしまいました。それでも、干潟自体初めて見る物なのだからと、再度挑戦して観察してみるのでした。何か興味を惹かれる物が有るかもしれません。

 私が見詰めた泥の表面には生物と思しき物は全く目に付かず、干潟には沖に向かう人の足跡などあったかもしれません、が、見詰め直してもやはり泥だけの世界です。私は干潟に降り立つ気分にはならず、沈み込むかもしれないと思ったのです、世の中には泥沼という物が有りますからね、もう少しの間努力して観察していましたが、程無くして、そのまま防波堤に沿って商店の方へ向かうことにしました。

 私は地図を広げて歩き出しました。私が向かっていた方向は最初に決めておいた自分の散策コースの方向でした。