神が宿るところ

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牛石

2011-07-05 22:39:30 | 名石・奇岩・怪岩
牛石(うしいし)。
場所:曹洞宗「牛谷山 桃林寺」(静岡市清水区大内788)の裏の農道を少し上った路傍。「鷲峰山 霊山寺」(2011年2月15日記事)の南、約600mのところにあるが、「桃林寺」も「霊山寺」と同じように「北街道」から北に谷川を遡った場所。「桃林寺」に駐車場あり。
式内社「白澤神社」が鎮座する静岡市葵区牛妻の「牛妻」という地名説話について、「道白堂」(2011年1月4日記事)の項で書いた。それは、僧侶の身で女性に焦がれ死にしたために牛に化してしまったという話だが、相手の女性が住んでいた竜爪山の西麓を「牛妻」と名づけたということになっている。
この話には、更に続きがある。この牛が悔悟して死んだ後、師の道白禅師縁の清水・有東坂の「補陀山 楞厳院」に葬るために鳥坂村まで運んできたとき、死体が急に重くなったので路傍に下ろしたところ、石になっていたという。この石が「牛石」(写真1)で、石工が鑿を当てたところ、石が血を流したという話もある。言われてみれば、牛が伏せたような形の石で、石の傍らに石祠が祀られており、祭神は牛頭天王であるという。また、近くの「桃林寺」という寺の名は、中国の故事で、周の武王が戦争に用いた牛を「桃林の野」に放したことから、戦備を解除する喩えを「桃林に牛を放つ」ということに因んだものともいわれる。また、一説に、静岡市清水区梅ヶ谷にある臨済宗「神谷山 牛欄寺」の裏山にも「牛石」があり、こちらが雄牛で、「桃林寺」裏の石が雌牛であるともいう。
ところで、「桃林寺」などがある瀬名丘陵(梶原山、牛谷山などともいう。)には、尾根などに多数の古墳があることが知られており、「瀬名古墳群」と呼ばれている。5~7世紀にかけての古墳(地方豪族の墓)で、確認されているのは7基の前方後円墳、円墳、方墳だそうである。


写真1:「桃林寺」


写真2:「桃林寺」裏の「牛石」


写真3:「牛欄寺」(場所:静岡市清水区梅ヶ谷88-1。「桃林寺」の北東、約1.5km)。本堂前に牛のブロンズ像はあるが、「牛石」はどこにあるか不明。
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