足柄万葉公園(あしがらまんようこうえん)。
場所:神奈川県南足柄市矢倉沢。静岡県道・神奈川県道78号線(御殿場大井線)沿い、足柄峠から神奈川県側に約400m下ったところ。駐車場あり。
万葉集に「足柄」を詠った歌が17首あるという。そのうちの7首を石碑にして、それらを巡る散策路を整備した公園が「足柄万葉公園」で、足柄平野や相模湾を見下ろす景色がよく、隠れた夜景スポットともなっている。
万葉歌碑は、例えば、写真2:「安思我良乃 美佐可加思古美 久毛利欲能 阿我志多婆倍乎 許知弖都流可毛」。「足柄の 御坂畏み 曇り夜の 我が下延(したばえ)を 言出(こちで)つるかも」、意味は「足柄峠の神が恐ろしく、(峠を越えるときに)心の奥に秘めていた恋人の名を告げてしまった。(言ってはいけなかったのに。)」。作者不詳。
写真3は、「足柄の 御坂に立して 袖振らば 家なる妹は さやに見もかも」、意味は「足柄峠に立って袖を振ったら、家に残してきた妻ははっきりと見るだろうか。」。こちらは作者名が判っていて、埼玉郡の防人、藤原部等母麿(ふじわらのともまろ)。埼玉郡は現在の埼玉県東部とされており、そこから防人として都方面に向う途中の足柄峠で詠んだものとされる。
歌のことは全くの門外漢なので、これ以上のことは書かないが、写真2の歌では、当時「恋人の名を口に出す」ことはタブーだったとか、写真3の「袖を振る」というのは「魂を招く」ことを意味した(足柄峠から袖を振っても見えるはずはないので、テレパシーの類いだろう。)とか、研究すれば面白いことがいろいろあるようだ。
ここで、この2首について注意すべきことは2つ。1つは、どちらも足柄峠を「足柄の御坂」と敬称をつけていることで、元々、坂は「境」で、境界には神が宿っていた。まして、足柄峠は国境の坂である。敬意をもって当然だっただろう。2つ目は、そういう神が宿る場所だからこそ、タブーを破ったり、遠く離れた妻に念を送ったりという神秘的なことを行ったということである。
南足柄市のHPから(足柄万葉公園)
「南足柄の散歩道」のHPから(足柄峠と万葉公園)
写真1:「足柄万葉公園」入口付近の「かながわの景勝50選 足柄峠」の碑
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/ee/1ecd19b142cae6fab19ef715d35518f1.jpg)
写真2:万葉歌碑の1つ。この碑だけが万葉仮名による。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/39/058339b80570271b15483b91911f78fe.jpg)
写真3:同上
場所:神奈川県南足柄市矢倉沢。静岡県道・神奈川県道78号線(御殿場大井線)沿い、足柄峠から神奈川県側に約400m下ったところ。駐車場あり。
万葉集に「足柄」を詠った歌が17首あるという。そのうちの7首を石碑にして、それらを巡る散策路を整備した公園が「足柄万葉公園」で、足柄平野や相模湾を見下ろす景色がよく、隠れた夜景スポットともなっている。
万葉歌碑は、例えば、写真2:「安思我良乃 美佐可加思古美 久毛利欲能 阿我志多婆倍乎 許知弖都流可毛」。「足柄の 御坂畏み 曇り夜の 我が下延(したばえ)を 言出(こちで)つるかも」、意味は「足柄峠の神が恐ろしく、(峠を越えるときに)心の奥に秘めていた恋人の名を告げてしまった。(言ってはいけなかったのに。)」。作者不詳。
写真3は、「足柄の 御坂に立して 袖振らば 家なる妹は さやに見もかも」、意味は「足柄峠に立って袖を振ったら、家に残してきた妻ははっきりと見るだろうか。」。こちらは作者名が判っていて、埼玉郡の防人、藤原部等母麿(ふじわらのともまろ)。埼玉郡は現在の埼玉県東部とされており、そこから防人として都方面に向う途中の足柄峠で詠んだものとされる。
歌のことは全くの門外漢なので、これ以上のことは書かないが、写真2の歌では、当時「恋人の名を口に出す」ことはタブーだったとか、写真3の「袖を振る」というのは「魂を招く」ことを意味した(足柄峠から袖を振っても見えるはずはないので、テレパシーの類いだろう。)とか、研究すれば面白いことがいろいろあるようだ。
ここで、この2首について注意すべきことは2つ。1つは、どちらも足柄峠を「足柄の御坂」と敬称をつけていることで、元々、坂は「境」で、境界には神が宿っていた。まして、足柄峠は国境の坂である。敬意をもって当然だっただろう。2つ目は、そういう神が宿る場所だからこそ、タブーを破ったり、遠く離れた妻に念を送ったりという神秘的なことを行ったということである。
南足柄市のHPから(足柄万葉公園)
「南足柄の散歩道」のHPから(足柄峠と万葉公園)
写真1:「足柄万葉公園」入口付近の「かながわの景勝50選 足柄峠」の碑
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/ee/1ecd19b142cae6fab19ef715d35518f1.jpg)
写真2:万葉歌碑の1つ。この碑だけが万葉仮名による。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/39/058339b80570271b15483b91911f78fe.jpg)
写真3:同上
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/54/6273f3e4797f4874cde25732b8e54854.jpg)
この絶景を見てから江の島行きが減りました。
コメントありがとうございます。
古代の旅人は富士山を間近に見て、何を思ったのでしょうね。