神が宿るところ

古社寺、磐座、不思議・パワースポット、古代史など極私的な興味の対象を見に行く

足柄万葉公園

2011-12-02 23:59:25 | その他
足柄万葉公園(あしがらまんようこうえん)。
場所:神奈川県南足柄市矢倉沢。静岡県道・神奈川県道78号線(御殿場大井線)沿い、足柄峠から神奈川県側に約400m下ったところ。駐車場あり。
万葉集に「足柄」を詠った歌が17首あるという。そのうちの7首を石碑にして、それらを巡る散策路を整備した公園が「足柄万葉公園」で、足柄平野や相模湾を見下ろす景色がよく、隠れた夜景スポットともなっている。
万葉歌碑は、例えば、写真2:「安思我良乃 美佐可加思古美 久毛利欲能 阿我志多婆倍乎 許知弖都流可毛」。「足柄の 御坂畏み 曇り夜の 我が下延(したばえ)を 言出(こちで)つるかも」、意味は「足柄峠の神が恐ろしく、(峠を越えるときに)心の奥に秘めていた恋人の名を告げてしまった。(言ってはいけなかったのに。)」。作者不詳。
写真3は、「足柄の 御坂に立して 袖振らば 家なる妹は さやに見もかも」、意味は「足柄峠に立って袖を振ったら、家に残してきた妻ははっきりと見るだろうか。」。こちらは作者名が判っていて、埼玉郡の防人、藤原部等母麿(ふじわらのともまろ)。埼玉郡は現在の埼玉県東部とされており、そこから防人として都方面に向う途中の足柄峠で詠んだものとされる。
歌のことは全くの門外漢なので、これ以上のことは書かないが、写真2の歌では、当時「恋人の名を口に出す」ことはタブーだったとか、写真3の「袖を振る」というのは「魂を招く」ことを意味した(足柄峠から袖を振っても見えるはずはないので、テレパシーの類いだろう。)とか、研究すれば面白いことがいろいろあるようだ。
ここで、この2首について注意すべきことは2つ。1つは、どちらも足柄峠を「足柄の御坂」と敬称をつけていることで、元々、坂は「境」で、境界には神が宿っていた。まして、足柄峠は国境の坂である。敬意をもって当然だっただろう。2つ目は、そういう神が宿る場所だからこそ、タブーを破ったり、遠く離れた妻に念を送ったりという神秘的なことを行ったということである。


南足柄市のHPから(足柄万葉公園)

「南足柄の散歩道」のHPから(足柄峠と万葉公園)


写真1:「足柄万葉公園」入口付近の「かながわの景勝50選 足柄峠」の碑


写真2:万葉歌碑の1つ。この碑だけが万葉仮名による。


写真3:同上
コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 足柄明神跡 | トップ | びく石 »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
足柄峠を越えて (junko-f2)
2011-12-06 22:26:03
2011年4月16日のコメント欄に書きましたが、現在は千葉県船橋市に在住しております。このブログでは、古代東海道を東に進み、ようやく足柄峠を越えて駿河国を踏破(?)しました。静岡県で出かけた場所の中に、まだ書いていないところがあるので、少し補足したいと思いますが、少しスローダウンして細々書きます。本当は、早く下総国の記事が書きたいのですが・・・。
返信する
足柄峠の富士  (もののはじめのiina)
2019-03-16 11:47:08
富士山を見るために江の島によく行きましが、足柄峠ははるかに近いので、より間近にたのしめます。

この絶景を見てから江の島行きが減りました。



返信する
ありがとうございます (ブログ管理人)
2019-03-16 17:27:18
もののはじめのiina 様
コメントありがとうございます。
古代の旅人は富士山を間近に見て、何を思ったのでしょうね。
返信する

コメントを投稿

その他」カテゴリの最新記事