眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

カツカレーは食べられない

2013-09-26 07:28:41 | 気ままなキーボード
 おいしそうな写真を眺めている内に、気がつくとカツカレーを注文していた。席に置いている鞄のことが気になって、ちらちらと振り返る。女は驚いたように注文を聞く。メニューにカツカレーがあったということを初めて知ったというように。振り返って、おいしそうなカツカレーの写真を眺め、納得して、カツカレーですねと千円札を受け取る。カツカレーを作ることに全神経を使い始めた女は、まるでお釣りを返す気配がない。このまま時効まで持ち込むつもりかもしれない。置いている鞄のことが、また気になる。そういえば、さっきご飯を食べたばかりだと気がついた。でも、カツカレーがおいしそうに映っているから、食べられる気がする。と考え始めるとご飯を食べたのは本当は昨晩のことで、実際、自分がいるのは架空の場所に過ぎないと思われ始めた。今まで気になっていたもの、重要だったものの、1つ1つは、1つ1つどうでもよいことに成り下がっていく。
 鞄? あのぼろい鞄。それもどうせ夢なんだし……。
 お釣り? 200円? 300円? それもどうせ夢なんだし……。
 カツカレー? どうせ食べられないんだ。 (おいしそうだったけど……)

コメント
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