眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

呼び捨て

2018-09-11 23:39:41 | アクロスティック・ライフ
おーいタツヤ、タツヤー
もう何十回と続く
徹底した叫びが外で
名を呼び続けている
深夜という時間に

怒っている風にも
文句があるようにも聞こえる
手につくものが何もない
何故に呼び続けているのか
知るすべもない

終わらない呼び声
もうそれは答えなのか
手をあげる者が他に
ないということの
終点に残された部屋がここに

俺は窓を開けるべきか
もしも目が合ってしまったら
敵かも知れない
長い恨みを携えて
仕返しに今現れたか

俺に友達はいない
もしもいたなら人違いだ
天秤座
何気に人間の血が流れ
死を時々恐れている

おーいタツヤ、タツヤー!
もう聞き飽きた俺の名
天に向かって叫ぶような声が響く
謎の男に応える者はまだ現れない
しびれを切らす様子もない

終わらないことが恐ろしい
もしも窓に石が飛んできたら
手をこまねいてはいられない
何も起こらない内は何も
しなくていい 

おーいタツヤ! タツヤー! タツヤー!
戻る場所を持たない男は
適当なところを知らない
名もなき俺を呼び捨てて
詩は生まれるだろうか


 アクロスティック「おもてなし」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする