ある人がノートに同じ文字ばかりを書いていた。それは人の名前だと言う。好きな人の名前を延々と書いていたのだ。好きなこと人を思い描くことは楽しいようだった。退屈な時間、ネガティブな環境を乗り越える時に、空想を働かせて、魂を解放してあげることは、自分のためになる。押しつぶされそうな心を、好きなものに向けることで、楽にしてあげるのだ。好きな人のこと、食べ物のこと、ゲームのこと、動物のこと、バンドのこと、風のこと……。物静かな人が突然多弁になって驚かされることがある。好きな大リーグのチームのことについて、同士を見つけて口は滑らかに動き続けていた。あんなにたくさん話せる人だった。物静かなんていうのは、一面的な印象だ。どうでもいいことを呼吸をするように話せる人と、話せることを話せる相手にだけ話す人がいるのだ。好きなことなら、ずっと話すことができるのだ。好きなことを話している人は、とても楽しそうだ。退屈な時間、ネガティブな環境に捕らわれて身動きができない時、好きなことについて考えを巡らせることは、自分のためになる。押しつぶされそうな心を、好きなものへ向けて、救ってあげるのだ。好きな人、好きな猫、好きな街、好きなお菓子、好きな鳥、好きな風……。
「好きな絵はずっと見ていられる」