欲と欲の間にお湯を注ぎたくて蓋を開けた。豪華にも様々な袋が出てきて圧倒される。スープ、スープ、スープ、旨味の素、かやく、かやく、特製スパイス。これはあと、これはあと、これはあと、あとからあとからあとから。
「最後に入れてください」
「そのあとで入れてください」
「直前になって入れてください」
「最後の最後に入れてください」
お湯を注いで蓋をする。この世で最も楽しみな5分。
「蓋の上であたためてください」
お湯の力を借りて蓋の上にスープの小袋を載せる。蓋の縁が持ち上がらないように、多くある袋は重しにもなってくれる。あと5分。将来は不安に包まれたものだとしても、夢に近づくためには進めなければならない針もある。開封前にも既に特製スープの匂いが部屋に溶け出している。少し眠ろう。ほんの少し……。伸びてもいい。
……! 寝過ごしてしまうところだった。自分のいびきがまだ聞こえる。そんなはずはない。疑いながら目をこする。視界の中に現れたのは小さな猫だった。蓋の上に丸まって猫は暖を取っていた。どこでそんな知恵を身につけたのか。
「落ちるよ」
「最後に入れてください」
「そのあとで入れてください」
「直前になって入れてください」
「最後の最後に入れてください」
お湯を注いで蓋をする。この世で最も楽しみな5分。
「蓋の上であたためてください」
お湯の力を借りて蓋の上にスープの小袋を載せる。蓋の縁が持ち上がらないように、多くある袋は重しにもなってくれる。あと5分。将来は不安に包まれたものだとしても、夢に近づくためには進めなければならない針もある。開封前にも既に特製スープの匂いが部屋に溶け出している。少し眠ろう。ほんの少し……。伸びてもいい。
……! 寝過ごしてしまうところだった。自分のいびきがまだ聞こえる。そんなはずはない。疑いながら目をこする。視界の中に現れたのは小さな猫だった。蓋の上に丸まって猫は暖を取っていた。どこでそんな知恵を身につけたのか。
「落ちるよ」