眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

一手の善悪/一局の物語

2020-06-14 17:37:00 | 将棋の時間
~果たして逆転は起きていたか~

 歩を突いて角筋を通し飛車取りにしたところはらしさがあり、形勢は先手優勢のように見えた。それから私は目を離した。

 再び局面をみた時、二枚飛車が敵陣の隅っこに封じられており、それに対して後手の二枚馬が攻防に輝きを放っていた。先手に何か誤算があったことは明らかだった。局面は後手勝勢に向かっていた。しかし、秒読みの中で打ち込まれた銀を強く玉で取って香を成り込まれたところで、後手を引いて受けるようでは少しの危うさが残っているようでもあった。先手が眠れる竜を活用した直後、先手玉頭に向けて王手で香が打ち込まれた。その時、AbemaテレビのAIの評価値が激変した。(香を玉で取り払って数値はすぐ元に戻った)その瞬間、期待や不安でハラハラした人も多かったと思われる。これは新しい「将棋の観方」なのかもしれない。

 どうやら王手を横にかわす手があったようだ。馬が王手で出てきたら更に斜めに落ちる。その時、横から飛車で王手なら歩の合駒が利く。また、横にかわす手に対してすぐ飛車の王手なら、そこで香を取る。飛車を打たせたことによって、実戦で現れたような王手で成香を抜く筋が消える。ところで、後手玉は詰めろになっているのか? (もしも詰めろでないのなら、後手はもっとシンプルな順で勝ちにくるはずだ)恐らく玉の頭から金を放り込み竜の王手で桂や色々取れそうなので詰むのだろう。逆転の可能性はまあまああったと言える。(こういうギリギリのところでは持ち時間を残していることが大きい。互いに秒読みであれば指運になっても不思議はない)

 一手のミスを突いて勝つことは勝負としては正しいが、将棋の道としては信頼に欠ける。それでは長続きしないことは明らかだ。一局を通してよく指した方が勝つべきだという雰囲気は存在する。(実戦的にも、苦しい時間が長ければそれだけ時間/体力を削られて勝ちにくい)

 将棋は一手一手交互に指すものだが、一手一手の「点」で戦っているわけではない。AIのように割り切ることはできない。一局全体としてのつくり/世界観/構想を競うことが人間の将棋ではないか。人間同士の戦いでは、流れ/読みの中から漏れてしまう手/手順というのが少なからずあるものだ。「あの一手がね……」と、そこだけを言っても仕方がない。
 一日をかけて戦う勝負の中で、一手だけを取り上げて善悪を語ることができるのは、横でみている者の気楽さでもあるのだろう。


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折句の湧き出る泉、ホット短歌いろは歌

2020-06-14 08:54:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
抜きん出たレビューのとけた温泉に
血はよみがえる「はーーーーーー、」

(折句「濡れ落ち葉」短歌)
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