眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ゾンビ温泉

2020-06-26 10:32:00 | ナノノベル
「あー、生き返った」
 湯船の中からおじいさんの声がした。
「極楽ですか?」
「わしはうそは言わんよ。人はすぐに死ぬものじゃ」
 おじいさんの言葉が岩に響く。

「おにぎりの具が落ちたら人は死んでしまう。ドラマの最終回を見逃しても、人は死んでしまう。恋人が来ない。隣人がうるさい。上司が怖い。シュートが入らない。台詞が覚えられない。お化けが出た。それでも人は死んでしまう」
「そんなことで?」

「わしもさっきマスダさんに負けて死にたくなったばかりじゃ」
「いや将棋に負けたくらいで」
「将棋に負けるというのは死ぬほどくやしいんじゃ」
「次勝ったらいいじゃないですか」
「マスダさんに勝つにはまず自分に勝たねばならん」
「勝てますよ」

「何であれ人は弱いんじゃ。だからすぐに死ぬ。そのためにこういう場所が必要になる」
「お風呂がですか」
「人間を温め直す心の泉がな」
「はあ……」
「人は何度でも蘇ることができる。お前さんも入りなさい」
 岩を渡って僕も極楽に近づいた。煮え立つような湯船に足をつけた。
「あちっー!」
「お前さんは大丈夫。まだまだ生きられる」

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折句短歌、ニッポンの夏

2020-06-26 05:20:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
アラフォーのジョージが知恵を振り絞る
ランチはきっと揖保乃糸だね

(折句「アジフライ」短歌)





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雪だるま好き瞬間(motto)

2020-06-26 03:44:00 | 【創作note】
何もしたくない時は
何もしたくないのに

pomeraの上を走っていると
芝生の上も走りたくなる
海の上も雲の上も
もっともっと
走りたくなってしまう

絵をかいていると詩をかきたくなる
ドラマをみていると映画をみたくなる
もっともっと
ニュースをみながらテレビを消したい
もっともっと足を伸ばして欲に浮かれていたい
(何もないとこに戻るくらいなら、もっともっと)

鉛筆を削りながらボールペンをまわしたい
カレーを煮込みながらラーメンを食べたい
途方に暮れながらブラックホールを愛したい
走りながら歌いたい
踊りながらじっとしたい

何もない時は
何もないのに

道があるならつれ出したい
ダイヤがあるなら乗っていきたい

もっともっと
コロコロコロコロ
転がって雪だるまになりたい

もっともっと
あれやこれや取り違えて
混乱の中にいたい
無我夢中で もっと!

スパゲッティであいみょんを聴きながら
パーカーの紐をフォークに絡めて
イヤホンで猫を描いていたい

爆音の中に
消えて行く指先と
雪だるまになって

もっともっと もっと!

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