眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ダブル・タイトル

2024-10-04 17:10:00 | ナノノベル
 長年書きあぐねていた小説が、その気になって頑張ってみるとあっという間に完成した。

バンザーイ!
今までのあぐねは何だったんだ?

 アイデア、ストーリー、キャラクター、オリジナリティー……。どれも今までで一番いいと言えた。
 問題はただ1つ、小説のタイトルだけだった。
 タイトルを疎かにすることはできない。
 タイトルは小説の顔だ。あらゆる読者のイメージを最初に刺激し、思わず手が伸びてしまう。荷物で塞がった手も、ポケットに奥深く逃げ込んだ強情な手も、引き出してしまう。そんな強い顔が必要なのだ。

A案「    」
B案「    」
 見つめれば見つめるほどにわからなくなる。
 どちらもいい!
 どちらも同じように好きで、同じほどこの小説に相応しい。
 そんな2つの顔から私は目が放せなかった。

 寿司もいい、焼き肉もいい。迷っている内にチャーハンになる。そのようなことはよくある。延々と迷っている時、突然後から現れたものは清々しくて魅力的だ。お姫様を持ち去ってハッピーエンドをつかむ英雄たちだって……。

「よーし。チャーハンだ!」
 その時、私は完全に取り乱していたのだ。
 A案B案を捨てチャーハンにするか。
 そんなことを本気で考えていたなんてね。
 一晩ぐっすり眠ると目が覚めた。私はそこまで馬鹿ではなかった。
 馬鹿でも薄情でもないから、まだA案B案どちらも捨てられなかった。
 仕方がない……。

 私は同時に別々のタイトルで同じ本を出版した。
 売れ行きは鴉が水をあびるような感じだ。
 どちらも同じようなペースで売れている。
「上手くいけばどちらも買ってもらえるかも」
 ふふふ……。







コメント
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