真似ている間はかわいいものだった。かわいさは、いつか頼もしさになり、恐ろしさに変わったが、そうなった時にはもう恐ろしさを口にすることもできなくなっていた。どこかで革命的な進歩があって、現実を凌ぐ勢力が現れたのだ。
紙は紙のようなものに差し替えられた。手触りは紙ではなかった。紙の匂いもしなかった。それでも紙にできることをすべてこなし、紙のような失敗をすることがなかった。
肉は肉のようなものに押されて消えていった。歯ごたえ、旨み、栄養素、すべてが肉そのものを上回っていた。ようなものが肉そのもののよい部分を合わせ持ち、肉に取って代わったのだ。
猫のようなものが猫のテリトリーを奪い取った。かわいらしく、機敏で、気まぐれで、用心深く、抜け目がなかった。居酒屋の暖簾の下に、自転車の隙間に、コンビニの駐車場に、至る所に、猫のようなものがいる。どこか違う……。そう見える瞬間もあったが、「そこ」と指摘できるものを見つけられた者はいない。
すべてに優先されたのは経済効率だ。
世界は絶え間ない入れ替え戦の最中にあった。後からやってくるものは例外なく強く、ディフェンディングチャンピオンの頑張りには哀愁のようなものが漂ってみえた。
「肉を食わせろー!」
肉でも食わなきゃやってられないと叫ぶ紳士も、既に肉そのものが提供されていないことは、十分に承知していた。それくらいはほざいてもみたくなる。時勢だろうか。(生き残るのは言い回しのみ)
「ごちそうさま」
そう言って金のようなものを払った。それが電子なのか、木の葉なのか、もう興味は失われつつあった。
既に私たちの半分以上が入れ替わっているようである。
きっと彼らは無駄な消費をすることもないだろう。
「あとはよろしく」(めでたしめでたし)
そう言って私は本文を閉じる、
今日はまだ少し現実のようである。
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