眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

おじいさんの焼き飯

2019-08-22 22:45:00 | 忘れものがかり
心身が疲れて始めることができない
疲れることは傷つくことだ
おつかれさまを繰り返す度に
随分と傷ついてしまった

何かの助けが必要な時に
おじいさんは焼き飯を作ってくれる

箸を持つことは億劫だけど
スプーンくらいは持つことができる
辛くとも一口をすくって口に運ぶ

「ああ。おじいさんの焼き飯だ」

ぎこちなくとも一口をすくって口に運ぶ
一口を味わうと自然ともう一口へと動く

「ありがとう。おじいさん」

おじいさんの焼き飯を口に運びながら
僕は少しずつ自分を取り戻していく

「ああ。やっぱりこれなんだ」

一口一口おじいさんの手による
作品を取り込みながら
僕は少しずつ元気になって行く

「ありがとう。おじいさん。思い出したよ」

一口一口
ほんの小さな仕草を繰り返しながら
生き物は生きていくんだね

「おじいさん。僕はもう大丈夫だよ」

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 封じ手の飛翔 | トップ | 僕は分身の術が使えない »

コメントを投稿