新しい監督になりスタメンが激変した。それから成績は下降線をたどり、低迷から抜け出せないでいた。長く続いたアップを止めて、僕はユニフォームに袖を通す。お呼びがかかったのはアディショナルタイムにさしかかる頃だった。残りは5分。死に物狂いで駆け回っても、ボールに触れることさえできない。「何もできない」何度これを繰り返せばいいのか。空しい笛が鳴って不完全燃焼。
ベンチに戻ると鶴が雷を落としていた。監督はお腹を押さえ俯いたまま聞いていた。
「あんた、昔からそういうところあるよ!」
(好きなものを最後に取っておく。それで最後は食べられなくなってしまう。そんな悪循環は誰もしあわせにしないんだよ)
「変わらなきゃ!」
僕らは少し彼のことを誤解していたかもしれない。監督は選手を伴ってサポーター席に行くと深々と頭を下げた。
翌週からベンチを温め続けていた10番がスタメンに復帰した。
キックオフの笛が響く。
10番の横で僕は逆襲を誓った。
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