「そこ掘れわんわん!」
不満を抱え込んだおじいさんのために、僕は宝の在処を指し示してあげた。おじいさんはわかったようにそこを掘りはじめて、当然のように出てくるものといえば、ガラクタばかりだった。
「このうそつきめ!」
鬼のような形相で僕を追いかけるおじいさん。またすぐそうして誰かのせいにする。だから幸せは逃げていくんじゃないの。
(そこ)だと言ったのに……。
僕の指す「そこ」は、ぐるっと回って隣の町だろうに、おじいさんの解釈は単純すぎる。だから、僕を悪者にすることしかできないのだ。
「この馬鹿犬め!」
「さよなら、おじいさん」
捨てられる前に捨ててやるよ。
伝える相手を間違えたら真実もガラクタになるし、僕だって幸福になれない。
「僕はもう隣の国へ行くよ」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます