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誰かをどこかへつれていくためには、自分から動き出さなければならない。そう思って自宅を出てから随分と時が経った。本当のところはよくわからない。ここに流れる時間は以前の時間とは何か違うのだ。私はずっとここにいる。それでいてずっと遠くへ運ばれていくのだ。「誰だ?」私を持って行くのは……。この指か、それとも他の……。おかしい。黒く滲むものが何も見られない。インクはとっくに切れているのかもしれない。才能も物語も何も出ていないのかもしれない。だけど私はプロなんだ。止められない。今止まったら、二度と動き出せない。「お客さま、お客さまー……」
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かすれても
書き止まらない
民宿の
一夜を泳ぐ
焦燥の筆
(折句「鏡石」短歌)
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