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前回の「英国車の誘惑(4)」で書いた、クルマのCO2排出を抑えようとする傾向はこれからも変わらないだろう。未来のクルマは否応なしに、環境に配慮したものにならざるを得ない。そんな傾向にあって英国ブランドのクルマ達は不利である。
英国ブランドにも様々なクルマがあっただろうが、現在そのクルマ達は外国資本の傘下で、ブランドを利用してかろうじて生き残っているわけだ。わざわざブランドを利用するのだから、乗って楽しいかあるいは快適なクルマになる。つまり平均的に言って排気量が大きくなることは避けられない。レンジ・ローバーのような外見の大きな4輪駆動か、アストン・マーチンのようなスーパー・エンジン付き2ドア・クーペか、ジャガーXJのような会社の社長さんが運転手つきで乗りそうな静かで大きく落ち着いた4ドア・セダンであることが多い。これらはロンドンで導入が予定される新税制の下ではあまりに不利である。
排ガス規制で世界最先端を行く都市ロンドンの新税制の影響で、ロンドンを走るクルマのうち英国車が少なくなって来たら、どうなるのだろうか。外国資本傘下でかろうじて生き残るブランドとしての英国車を、ロンドンで見かけることが少なくなった時、それでも外国人は英国車のイメージを明確に持ち、英国車を購入することが出来るだろうか。
ただでさえ英国車は不幸であると思う。私のクルマもイングランドの工場で生産されたコンパクトな英国車だが、不思議なことがいくつかある。英国は日本と同じでクルマは左車線を走るので、ハンドルは右側についている。私のクルマも右ハンドルであるが、方向指示器のレバーはハンドルの左横、ワイパーのレバーは右横についている。これらは通常の右ハンドルのクルマとは逆のつけ方である。またボンネットを開けるレバーは助手席の横にあり、運転席からは操作出来ない。
これらの不合理な特徴はいずれも、左ハンドルのクルマのハンドル位置を左から右へ付け替えて日本に輸出したケースに類似するものだ。右ハンドルの国である英国のクルマにどうしてこうしたことが起こったか。理由はマーケットである。今や英国車オーナーは英国よりも米国に圧倒的多数がいるのだ。私のクルマは米国向け仕様で基本設計がなされ、それを右ハンドルに転向したものなのだ。本拠地英国でもこれで販売されている。
こうしたことを観察すると、英国車が外国資本の下でそれが持つ独特のテイストを利用して、外国人に多く購入されかろうじて生き残っている実情が見えて来る。新税制でロンドンを走る英国車が激減した時、外国の英国車愛好者達はどう反応するだろうか。それでも英国車は生き残るのだろうか。あるいは英国車はエンジンの小さい、BMW傘下のMINIだけになってしまうのか。あるいはまた違う道を見出すのだろうか。
これは我々日本人にとって笑い話ではない。経済的に発展した後、相対的に衰退しているという意味では、19世紀から20世紀の変わり目の英国と、今の日本は同じである。トヨタは利益の記録を更新中だが、日本の人口は減り、トヨタの自動車販売量は今や日本より海外の方が多い時代である。トヨタのクルマが左ハンドル仕様を基本設計とする時代も近いのかもしれない。グローバル化する経済で大成功を収めるには不可避なことなのである。うれしいような悲しいような。
画像は英国AA(Automobile Association)のエンブレムである。これをつけたクルマなら、事故や故障で立ち往生しても大丈夫。それがバッキンガム宮殿の前であれ、スコットランドの荒野のヒースだらけの岩山の上であれ、ウェールズの古城の濠の中であれ、七里ガ浜の砂だらけの海岸であれ(それはどうか?)、親切なAAの係員が「May I help you?」と助けに来てくれる。ひょっとしたら、七里ガ浜にもAAの人が来てくれるかもしれないので、私も自分のクルマにこれをつけている。
疲れました。
排ガス税はきつくなりそうですね。
きっと23区内は導入されるでしょう。
やがて。
金かかりますね。
クルマ維持するのが。
プリウスはいいクルマなんでしょうが、
私は今のところ関心がありません。
生きるのが難しい時代。
書き込む間を与えませんねえ。
ロンドン市長の排気ガス税、思い切った判断です。
よっぽど環境問題が深刻なんでしょうか。
プリウスでやっと無税だと、
私の車でもけっこう払わなくてはダメなんでしょうね。
同じ地球上の話なので、どこの国も同様な判断が必要なんでしょうが。。。