社会保険労務士の学習をしながら、合間にビジネス・経済本を読んでる。「競争と公平感」(週間ダイヤモンド2010年のベストけ経済書に選ばれている)という経済学者の書かれた新書を読んだ。
要旨は、日本人は資本主義国の中では、例外的に市場競争が嫌い、また、不公平と感じる時はどんな時か解説している。男女、不況、貧困、高齢化、派遣社員などの例を分析している。
この中で、ひとつ紹介する。高齢者医療だ。高齢者医療は、以前は老人保健法で実施されていたが、財源が少なくなり、高齢者も増加したため、75歳以上の高齢者を分離し、後期高齢者として一般の人とは別に医療保険を作った。このとき若干、費用負担も増えた。これが後期高齢者の癇にさわったため、拒否反応が起り、政局にまで発展してしまった。
よく考えてみると、医療費の日本全体の医療費の増加はいたしかたない内容である。問題は、高齢者の負担を、若い人達が背負っていることが問題なのである。若い人は自己負担で医療費の3割、後期高齢者の負担は1割である。
つまり、年金と同じで、人数の少ない若い人が、人数の多い年寄りの負担をしているのだ。さらに年寄りは貯金が多く、若い人は少ない。だから、ちょっとくらい、負担が多くなっても「文句言うな」と言いたくなる。若い人からこんな意見が出てこないから、私が言うのだ。
さてこの解決策だが、以前読んだ「デフレの正体」で年代別負担という考え方があった。年寄りは年寄り同士で、若い人は若い人同士で負担しあうというもの。若い人が将来歳をとって福祉のお金がかかるなら、その分を基金にしておけばよい。こんな考え方、いいんだけど、実現は難しそうだな。
|
競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書) |
大竹 文雄 | |
中央公論新社 |