元通産省官僚の古賀茂明氏の著書である。著書名は官僚の責任という。氏は最近はテレビタックルなどによく出演している。よく言われる、「官僚は国益より省益を優先して考えている」ことを経験から語っている。
私は、中小企業診断士のため、中小企業支援に関する記事が気になった。以下、その下りである。
そもそも優秀な経営者は、国に助けてくれとは言わないものだし、政治家や官僚などよりはるかに知恵をもっている。こんなこともあった。「中小企業は資金や人材面で大企業に比べて大きなハンデを背負っている、そのために補助金を出そう」
けれどもその程度のことは優秀な経営者ならすでに考えていた。しかも全国にそうしたグループがあった。
そこで今度はこう持ちかけた。「経産省でこういう制度ができたから、乗りませんか」そして、「申請書はすべてこちらで書きますから」と言って説得し、加わってもらった。成功例がいくつか集まったところで、成果を示すために、「〇〇企業百選」というカラー印刷の小冊子を発行した。
しかし、補助金を受けた経営者に「この制度は役に立ちましたか」と訊ねると、「一番お世話になったのは申請書を書いていただいたことです。」
彼らはもともと優秀な経営者だから、放っておいても成功したはずなのだ。これでは何のために補助金を出したのかわからない。つまりは、官僚のアリバイづくりなのである。官僚のやることは実にこういうケースが多い。
なるほど、ありそうな話である。
|
官僚の責任 (PHP新書) |
クリエーター情報なし | |
PHP研究所 |