三橋本の中で、この本は出色の出来である。著者は女性向けに、経済を簡単に説明したいということで作成したらしいが、それでも結構難しい。
この本の中で、なるほど、これは説得力がある、という部分があったため、解説する。当初はこの表をスキャナで読んで解説しようとしたが、どうも解像度の関係でうまくいかない。従って、本からデータを読み取っているので、少し不正確かもしれない。その点はご承知を。
下の表のうち、(1)表は、日本と欧米諸国の政府負債残高である。日本の負債はこの10年で1.5倍になった。一方、欧米諸国は、ドイツ、イタリアが日本と同じ、イギリス、アメリカは、2.5倍になっている。日本だけが多くなっているのではない。日本は少ないくらいだ。
また、(2)表は、主要国の政府負債対名目GDP比率である。これは日本がこの10年で何と2.1倍に大変な増加、欧米諸国は、0.8倍と何と縮めている。これはどうしたことか?
そこで、(3)表を見る。(3)表は、主要国の名目GDPの推移で、日本はこの10年で1.05と、ほとんど成長していない。一方、欧米は何と2倍に伸びているのである。実はこれが原因なのである。欧米諸国は、政府負債は伸びているが、GDPも伸びているため、GDP比では負債は減少しているのに対し、日本は、経済成長してないから、負債の比率が大きくなっているのである。
解決策は、明確である。早くデフレを脱却して、経済成長すればいいのだ。欧米諸国が皆成長しているのに、日本だけできないはずがない。経済成長、これ一本に絞って政策を展開していくべきだろう。
従って、増税などとんでもない。インフレターゲットで日銀は金融政策を、政府は復興を財政政策としてやっていくべきであろう。そうすれば、税金も増え、政府負債も気にならなく、なる。インフレになった時点で、景気を冷やすため、初めて増税すればいいのだ。
その意味で、この1冊は、説得力がある。日本の増税論者は、経済成長を知らないのであろうか。今度の民主党の総理は、わかってるのかな。
(1) 主要国の政府国債残高
日本:1.5倍 欧米:1.5~2.5倍
(2) 主要国政府国債の残高と負債対GDP比率
日本:2.1倍 欧米:0.8倍
(3) 主要国の名目GDP
日本:1.05倍 欧米:2.0倍
数字は、すべて 10年/00年 の比率です。