ある晴れた日に第279回
私より若い友人やおないどしの知人がどんどん泉下の人になっているというのに、
なぜか自分はまだまだ死なないような気がしてる。
祖父母が死んで、父母が死んで、伯父伯母のほとんどが死んでしまったが
なぜか自分はまだ死なないような気がしてる。
安西水丸や高倉健や羽仁未央や中川安奈が相次いで亡くなっても
心からお悔やみ致しますとか言いながら、平気な顔をして生きている。
ひとたび生まれてしまった人間は、必ず死ぬと決まっているというのに、
なぜか自分だけはいつまでも死なないような気がする。
いくら死なないと思っていても、朝露のように儚く消え失せる身と知りながら
それでもなおこの自分が本当に死んでしまうとは思っていない。
この自分。
フェルメールとショパンの良さは分からぬがルソオとモザールの良さなら分かる 蝶人