あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

高木和子著「源氏物語を読む」を読んで

2021-07-14 11:28:21 | Weblog

照る日曇る日第1604回

東の「源氏」と西の「失われた時を求めて」は、読むたびに新しい発見があって、いろいろな翻訳を手に取らずにはいられない。
最近は岩波文庫版の源氏物語を楽しみに読み続け、あとは最終第9巻の発売を待つばかりになったが、類書を凌ぐその精緻な校注は、まことに読みごたえがある。
本書はそんな源氏の入門書というが、内容はかなり深みを鋭く抉ったものであり、まだ一度も翻訳すら読んだことのない人には珍紛漢紛だろう。
本書によれば、源氏物語などの平安時代の文献では、「飽く」という言葉は肯定形では殆ど使われず、「飽かず」という否定形で使われたという。
「飽かず」はこの物語の思想(阿部秋生)なのであり、「そして光源氏の「飽かず」という「尽きせぬ欲望こそが、光源氏の生を開花させ、物語を推進させる」(高木和子)のであったあ。

亜星氏と「ワンサカ娘」を歌いつつ歴史の波間に消えゆくレナウン 蝶人
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