知って得する ハローワーク⑤ 仕事と生活 セットで相談

仕事と生活　セットで相談することがこつです

　厚生労働省の発表によると、２月の有効求人倍率は０．５９倍。ハローワークに寄せられた約１４２万人分の求人すべてが使われても、仕事を探している約２４９万人のうち、１０７万人は就職できないという厳しい状況です。昨年末以降の製造業を中心とした解雇や雇い止めがもたらした雇用情勢の悪化をあらわす数字です。
　仕事をなくした人の厳しさは、数字以上に深刻です。非正規雇用労働者として働いていた多くの人が、社員寮を追われ、仕事と住まいを同時に失っています。「なんとか貯金でつないできたものの、いよいよ所持金が底をついてしまった」という方も、決して少なくありません。
　こうした状態で、仕事を見つけて生活を再建するのは容易ではありません。住所が確定していなければ採用してくれる企業はまずありません。また正社員の給料は基本的に月払いですので、給料日まで待てない状態の人は、不安定な日払いや週払いの仕事を選ぶしかなく、非正規雇用から抜け出せません。
　住み込み求人は、離職と同時に住居を失うリスク（危険）を背負うことになります。
　ハローワークでは、仕事の相談と生活の椙談をセットで行うことが大切です。「この求人に応募したい」と紹介状をもらっても、生活基盤が安定していなければ問題は何も解決しません。ハローワークの職員は国家公務員で、仕事で知った秘密は守る義務を負っています。経済的に困っていたり、借金があるという相談も、ぜひ持ちかけてみてください。

　生活保護活用
　そこで考えていただきたいのが、生活保護制度の活用です。生活保護は、住んでいる地域と家族構成によって定められている基準以下の収入であって、一定の条件を満たせば受けられます。
　仕事を探しているのにみつからず、住むところもなく、所持金もほとんどないようなら、ほぽ間違いなく保護の対象です。
　保護が開始されれば、生活費のほかにアパート入居の初期費用なども支給され、当座の生活を安定させられます。その上で、安定した就職をめざすことをお勧めします。
　生活保護に抵抗感をお持ちの方も多いですが、就職して収入が保護の基準を上回ると保護は打ち切られますので、一時的なものと理解してください。ハローワークでは、職員から福祉事務所に連絡してもらうことも含めて、幅広く椙談してください。
　ハローワークでは就職安定資金という、アパートの入居初期費用や、家賃、生活費を融資する制度も扱っています。しかしこれは借金です。６カ月で融資は打ち切られ、返済が始まります。最大で１８０万円もの借金を背負うことになりかねませんので、十分慎重に相談してご判断ください。
　保護の要件にあてはまる方は、借金より生活保護申請をお勧めします。
　次回は、雇用保険制度の失業給付を取り上げます。


　雇用問題研究者　谷川清