星空を見上げて② 明け方の美しい天文ショー
渡部潤一
明け方、早起きすると東の空にひときわ明るい星がふたつ上下に並んで輝いているのに気づくでしょう。
上の方に輝くのは木星、下の明るい方が金星です。金星は、6月6日に太陽の手前を通過するという、珍しい金星の太陽面通過を起こしてから、太陽の西側に移動しました。つまり、宵の明星から明けの明星となって、明け方の東の空に輝き始めているのです。
★☆~☆★
明けの明星 金星・木星・三日月_05 posted by (C)きんちゃん
7月17日の午前4時22分。上から木星、金星、月と並んでいるのがよくわかります。撮影地:神戸
明けの明星 金星・木星・三日月_03 posted by (C)きんちゃん
明けの三日月_01 posted by (C)きんちゃん
7月17日、月齢27.5の細い三日月です。午前4時30分撮影。
明けの三日月_02 posted by (C)きんちゃん
あかね色のグラデーションに染まった明け方の東の空に、この明るい二つの惑星が輝いている様子は、それだけでも美しいものです。しかも週末の15日には、そこへ細くなった月が加わります。月齢25という細い月の輝きが、木星のやや上にやってきて、その輝きを競います。翌16日の朝には、月はますます細くなって、金星の左側に輝きます。よく見ると、金星のそばには、おうし座の1等星アルデバラン、木星の上の方には有名な散開星団「すばる」が脇役として輝いているのがわかります。見逃せない明け方の豪華な天文ショーとなることでしょう。
金星と月の接近は、ほぼ毎月のように起こるので、それほど珍しくはありませんが、実は来月8月14日は特別です。接近どころではなく、金星が月に隠されてしまう「金星食」が起こり、沖縄をのぞく全国で見られるからです。夜空の中で最も明るい天体である月が、2番目に明るい金星を隠してしまう前後、その輝きを競う姿は、とても美しいものです。
金星は月齢26の細い月の光っている側(明縁)に隠され、暗い側(暗縁)から現われます。場所によって時刻は異なりますが、東京では14日早朝2時40分頃に隠され、3時半頃に現れます。隠されている間は、もちろん月しか見えないのですが、おまけもあります。
この夜はペルセウス座流星群の活動期にあたっていて、たくさんの流れ星に会える確率が高いのです。
1989年12月2日の金星食。望遠鏡による金星の潜入と出現(平塚市博物館提供)
★☆~☆★
さて、金星食のハイライトは、金星が暗い縁から現れた時です。朝焼けの始まった茜色の夜空を背景に、まるでトルコの国旗などに描かれた月と星のイメージのような景色が見られるはずです。しかも、この金星食、めったに見られるものではありません。前回、日本全国で金星食が見られたのは23年前の1989年12月2日でした。また、比較的観察条件のよい金星食が次に見られるのは、なんと約半世紀後の2063年5月31日となります。
時間帯が早朝なので、ちょっときついのですが、夏休みということもあり、ぜひ流れ星も探しながら、「金」メダル級の天文ショーをぜひ見てみませんか。
(わたなべ・じゅんいち国立天文台副台長)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年7月11日付掲載
8月14日ですか・・・
今回の撮影で、月と金星が登ってくる方向と仰角が分かり、撮影のポイントも絞り込めました。
ぜひとも撮影にチャレンジしてみます。
今度は500mmのレンズを担ぎ出します。
渡部潤一
明け方、早起きすると東の空にひときわ明るい星がふたつ上下に並んで輝いているのに気づくでしょう。
上の方に輝くのは木星、下の明るい方が金星です。金星は、6月6日に太陽の手前を通過するという、珍しい金星の太陽面通過を起こしてから、太陽の西側に移動しました。つまり、宵の明星から明けの明星となって、明け方の東の空に輝き始めているのです。
★☆~☆★
明けの明星 金星・木星・三日月_05 posted by (C)きんちゃん
7月17日の午前4時22分。上から木星、金星、月と並んでいるのがよくわかります。撮影地:神戸
明けの明星 金星・木星・三日月_03 posted by (C)きんちゃん
明けの三日月_01 posted by (C)きんちゃん
7月17日、月齢27.5の細い三日月です。午前4時30分撮影。
明けの三日月_02 posted by (C)きんちゃん
あかね色のグラデーションに染まった明け方の東の空に、この明るい二つの惑星が輝いている様子は、それだけでも美しいものです。しかも週末の15日には、そこへ細くなった月が加わります。月齢25という細い月の輝きが、木星のやや上にやってきて、その輝きを競います。翌16日の朝には、月はますます細くなって、金星の左側に輝きます。よく見ると、金星のそばには、おうし座の1等星アルデバラン、木星の上の方には有名な散開星団「すばる」が脇役として輝いているのがわかります。見逃せない明け方の豪華な天文ショーとなることでしょう。
金星と月の接近は、ほぼ毎月のように起こるので、それほど珍しくはありませんが、実は来月8月14日は特別です。接近どころではなく、金星が月に隠されてしまう「金星食」が起こり、沖縄をのぞく全国で見られるからです。夜空の中で最も明るい天体である月が、2番目に明るい金星を隠してしまう前後、その輝きを競う姿は、とても美しいものです。
金星は月齢26の細い月の光っている側(明縁)に隠され、暗い側(暗縁)から現われます。場所によって時刻は異なりますが、東京では14日早朝2時40分頃に隠され、3時半頃に現れます。隠されている間は、もちろん月しか見えないのですが、おまけもあります。
この夜はペルセウス座流星群の活動期にあたっていて、たくさんの流れ星に会える確率が高いのです。
1989年12月2日の金星食。望遠鏡による金星の潜入と出現(平塚市博物館提供)
★☆~☆★
さて、金星食のハイライトは、金星が暗い縁から現れた時です。朝焼けの始まった茜色の夜空を背景に、まるでトルコの国旗などに描かれた月と星のイメージのような景色が見られるはずです。しかも、この金星食、めったに見られるものではありません。前回、日本全国で金星食が見られたのは23年前の1989年12月2日でした。また、比較的観察条件のよい金星食が次に見られるのは、なんと約半世紀後の2063年5月31日となります。
時間帯が早朝なので、ちょっときついのですが、夏休みということもあり、ぜひ流れ星も探しながら、「金」メダル級の天文ショーをぜひ見てみませんか。
(わたなべ・じゅんいち国立天文台副台長)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年7月11日付掲載
8月14日ですか・・・
今回の撮影で、月と金星が登ってくる方向と仰角が分かり、撮影のポイントも絞り込めました。
ぜひとも撮影にチャレンジしてみます。
今度は500mmのレンズを担ぎ出します。