きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

星空を見上げて③ さそり座を眺めると

2012-07-21 17:27:48 | 科学だいすき
星空を見上げて③ さそり座を眺めると
渡部 潤一

晴れた宵、ぜひ南の空を眺めてみてください。そこには赤く輝く明るい星が見つかるでしょう。夏の代表星座である、さそり座の1等星アンタレスです。アンタレスは、さそりの心臓にあたります。火星が夏に地球に近づく時には、ちょうどさそり座のあたりで、アンタレスと並んで輝き、その赤さを競います。そのため、「火星の敵」という意味のアンタレスと呼ばれるようになったのです。
アンタレスは赤色超巨星といって、その直径は太陽の300倍もあります。重い星が、老人になって外層がどんどん膨れ、このような巨大な星となったのです。こうなると、星の表面は熱を生みだしている星の芯から遠くなりますので、冷えてしまいます。それによって、太陽の表面のように黄色い色ではなく、温度が下がって赤い色になるのです。

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アンタレスは日本では「赤星」、「豊年星」さらには「酒酔い星」などと呼ばれていました。夏の夕涼みに、ビールを飲みながら眺めるにはうってつけの名前ですね。
さて、このアンタレスから、さそり座の全体をたどってみましょう。さそり座は2等星や3等星の明るい星が巨大なS字状の配列に並んだ星座です。アンタレスから右上に並んだ星がちょうど、さそりの目に、左下へ続くS字カーブの星の配列が、猛毒のしっぽに見立てられています。そのS字カーブをたどると、本物のさそりそっくりに見えてくるから不思議です。
星座をはじめに考えだしたのは遠くメソポタミア地方(現在のイランやイラク付近)の人たちといわれていますが、砂漠で生きる彼らにとっては、さそりは身近なものだったのでしょう。



球状星団M4.黒いじゅうたんの上に水晶のかけらが山になっているような美しさ(国立天文台提供)

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このS字の星の並びは、日本では釣り針に見立てて「魚釣り星」などと呼ばれています。ちょうど釣り針の先は、天の川の中にありますから、天の川で泳ぐ魚を釣り上げるように見えたのでしょうか。
ところで、双眼鏡があれば、アンタレスのほんの少し右側(西側)に向けてみましょう。そこには、星とは異なるやや大きさを持った天体が見えるはずです。
数百万個もの星が密集している、球状星団M(メシエ)4です。球状星団は、あちこちにありますが、アンタレスの近くにあるM4は、探しやすさではナンバーワンです。天体望遠鏡で眺めると、密集した星たちが、夜空をバックにきらきらと輝いている様子を楽しむことができますので、挑戦してみましょう。
(わたなべ・じゅんいち国立天文台副台長)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年7月18日付掲載



さそり座の様な見つけやすい星座も、市街地ではなかなか見えづらくなっています。でもよく晴れた日には南の空を眺めてみましょう!