きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

国際経済の民主的秩序③ 投機マネー防ぐ取引税

2013-12-24 16:23:06 | 国際政治
国際経済の民主的秩序③ 投機マネー防ぐ取引税

今年6月、ブラジル各地で公共交通機関の運賃値上げに端を発した大規模な抗議デモが起きました。経済的背景には金融市場の混乱がありました。
2008年秋のリーマン・ショック後、欧米や日本の金融緩和によって膨張した投機マネーがブラジルなど新興国に流入しました。米国の緩和政策転換が取りざたされるようになると、今度は資金の流出圧力が強まり、通貨レアルが急速に下落。慢性的なインフレが、輸入物価を通じてさらに悪化する懸念が強まりました。
投機マネーは、世界の食料需給も不安定化させています。昨年には米国の記録的干ばつを機に投機筋が穀物を買って価格をつり上げました。食料価格の高騰は貧困国ほど大きな打撃を受けます。
中央銀行の国際機関、国際決済銀行(BIS)の調査によると、2010年時点で世界の1日当たり外国為替取引高は、輸出総額の約80倍にあたる5兆ドル。ほとんどが投機マネーと考えられます。投機マネーの横暴を防ぐことは世界経済の重要課題です。

EU11力国導入
課税によって投機的な金融取引を規制しようとするのが金融取引税です。欧州連合(EU、加盟27力国)ではドイツ、フランスを含む11カ国が14年に金融取引税を導入します。
フランスは12年から単独で実施していますが、複数の国が共同して金融取引税を導入するのは初めてです。
11カ国の金融取引税は、株式などの債券取引に毎回0・1%、デリバティブ(金融派生商品)取引に毎回0・01%を課税します。金融投機は、短時間に高速で多くの取引を繰り返すので、低い税率でも税額が多くなり、投機を抑制する効果があります。納税義務を負うのは金融機関。個人の取引には課税されません。
課税対象は参加11カ国の金融取引にとどまりません。取引した一方が参加11カ国のいずれかにある限り、世界のどこで取引しようと課税されます。日本の銀行がドイツの会社(非金融機関を含む)と金融取引を行えば、取引場所がこの2国以外であっても日本の銀行が納税義務を負います。取引される金融商品が11カ国のいずれかで発行されている場合は、世界のどこで取引しても課税されます。
現代では、ほとんどの金融取引がコンピューターによって電子化されたシステムで決済されるので、税務当局による捕捉も容易になっています。
EUの執行機関、欧州委員会によると、金融取引税によって年間350億ユーロ(約5兆円)の税収が見込まれています。税収は11カ国とEUで分け合います。
巨大金融機関の反発は強く、世界的な金融取引の中心地シティを抱える英国が金融取引税の導入に反対し、EU全体への導入が見送られた経緯があります。


【2014年に金融取引税を導入ずる11力国】
ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ベルギー、オーストリア、ギリシャ、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、エストニア



8日、東京都内で開かれた国際連帯税・金融取引税に関する国際シンポジウム

国際的な課税を
日本では、国際連帯税を導入する運動があります。金融取引や国際便の航空券など国境を越える経済活動に課税して、発展途上国の貧困克服や地球温暖化対策など世界的な課題の財源に充てる構想です。市民団体、国際連帯税フォーラムは8日、東京都内でシンポジウムを開き、国際連帯税、金融取引税の導入を呼びかけました。
日本共産党は、第26回大会決議案で金融取引税など投機を規制する動きを「国際的にも広げていく必要がある」と強調しています。(おわり)
(この連載は山田俊英が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年12月21日付掲載


投機的な金融取引にEU11カ国が一致団結して課税しようとする取り組みは良いですね。
わずかな税率なので、課税される側にとってみればあまり負担にならないように見えますが、なにせ取引額や取引回数が実経済の100倍近くあるもの・・・。
実際は、一定の税収になると思いますし、投機的な取引の規制につながるでしょうね。