森友・加計疑惑を追う⑦ 昭恵氏契機に特例実現
「改ざんされた文書のなかで、最も大切なのは特例承認にかかわる決裁文書だ」。財務省近畿財務局で国有地取引を担当していたOBは指摘します。
首相夫妻の名前
学校法人「森友学園」(大阪市)は当初、国有地(大阪府豊中市)を10年間借り、その間に買い取る定期借地契約を財務局と結びました。
国有地は売却が原則です。小学校など公的用途として特例で貸し付ける場合も、期間は3年間程度です。自治体なら、その間に買い取る予算措置をします。
「昨年疑惑が発覚した直後に聞いて、びっくりしたのは、貸付期間を10年間もとったことだ。財務局だけでは絶対に決めることができない。これは本省や政治家がからんでいると思っていた」とこのOBは語ります。
実際に、特例承認の決裁文書には、安倍晋三首相と妻昭恵氏の名前がかかれ、その部分はすべて削除されていました。
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安倍昭恵氏は、森友学園が計画した小学校の児童募集パンフレツトに、名誉校長としてあいさつ文を寄せていました
注目すべきは、昭恵氏が登場する場面です。改ざん前の決裁文書や財務局内の法律相談書をもとに検証すると―。
最初の登場は、2014年4月28日。この日、財務局は大阪府への申請手続きが順調にすすまない学園に、「いつまでも待てない」と言いました。
この席で学園理事長だった籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=は、財務局に、昭恵氏が小学校予定地を視察し「いい土地ですから、前に進めてください」と語ったことを伝えます。
すると2カ月後に財務局は、「売払いを前提とした貸し付けについては協力させていただく」と態度を変えます。
次に登場するのは、15年1月8日。昭恵氏が学園を訪問し、「学園の教育方針に感涙した」と報じた産経新聞のネット記事が紹介されていました。
翌日9日、財務局は学園を訪問し、貸付料の概算額を伝えます。見積もり合わせの2カ月以上前に概算額を知った学園は、しつこく値引きを要求。最終的には、貸付料の予定価格を約560万円引き下げさせることに成功しました。
いずれも昭恵氏の登場をきっかけに、学園の要望が実現していった形です。
明白な安倍事案
不思議なことに本省で決裁印を押した当時の理財局国有財産企画課長、国有財産審理室長は、決裁文書を「ちゃんと見ていなかったので、総理夫人の名前が出てくることを覚えていない」としています。
財務局OBは指摘します。「改ざん前の原本をみると、国有地取引が『安倍事案』だったことはいわずもがなだ」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年5月13日付掲載
昭恵氏が登場するたびに、森友学園の要望が次々と実現していく。籠池氏が詐欺罪で起訴されるなら、昭恵氏も詐欺ほう助で捕まってもいいぐらいだ!
「改ざんされた文書のなかで、最も大切なのは特例承認にかかわる決裁文書だ」。財務省近畿財務局で国有地取引を担当していたOBは指摘します。
首相夫妻の名前
学校法人「森友学園」(大阪市)は当初、国有地(大阪府豊中市)を10年間借り、その間に買い取る定期借地契約を財務局と結びました。
国有地は売却が原則です。小学校など公的用途として特例で貸し付ける場合も、期間は3年間程度です。自治体なら、その間に買い取る予算措置をします。
「昨年疑惑が発覚した直後に聞いて、びっくりしたのは、貸付期間を10年間もとったことだ。財務局だけでは絶対に決めることができない。これは本省や政治家がからんでいると思っていた」とこのOBは語ります。
実際に、特例承認の決裁文書には、安倍晋三首相と妻昭恵氏の名前がかかれ、その部分はすべて削除されていました。
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安倍昭恵氏は、森友学園が計画した小学校の児童募集パンフレツトに、名誉校長としてあいさつ文を寄せていました
注目すべきは、昭恵氏が登場する場面です。改ざん前の決裁文書や財務局内の法律相談書をもとに検証すると―。
最初の登場は、2014年4月28日。この日、財務局は大阪府への申請手続きが順調にすすまない学園に、「いつまでも待てない」と言いました。
この席で学園理事長だった籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=は、財務局に、昭恵氏が小学校予定地を視察し「いい土地ですから、前に進めてください」と語ったことを伝えます。
すると2カ月後に財務局は、「売払いを前提とした貸し付けについては協力させていただく」と態度を変えます。
次に登場するのは、15年1月8日。昭恵氏が学園を訪問し、「学園の教育方針に感涙した」と報じた産経新聞のネット記事が紹介されていました。
翌日9日、財務局は学園を訪問し、貸付料の概算額を伝えます。見積もり合わせの2カ月以上前に概算額を知った学園は、しつこく値引きを要求。最終的には、貸付料の予定価格を約560万円引き下げさせることに成功しました。
いずれも昭恵氏の登場をきっかけに、学園の要望が実現していった形です。
明白な安倍事案
不思議なことに本省で決裁印を押した当時の理財局国有財産企画課長、国有財産審理室長は、決裁文書を「ちゃんと見ていなかったので、総理夫人の名前が出てくることを覚えていない」としています。
財務局OBは指摘します。「改ざん前の原本をみると、国有地取引が『安倍事案』だったことはいわずもがなだ」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年5月13日付掲載
昭恵氏が登場するたびに、森友学園の要望が次々と実現していく。籠池氏が詐欺罪で起訴されるなら、昭恵氏も詐欺ほう助で捕まってもいいぐらいだ!