安倍官邸・財界一体 危険な「生産性革命」④ IT企業データ独占
インターネットを支配する巨大な通信技術(IT)企業が、世界のデータを独占しています。米IT大手のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンは頭文字をとって「GAFA」(ガーファ)と呼ばれ、独占的な地位を築いています。
グーグルは検索サービス、アップルはスマートフォン端末、フェイスブックはインターネット交流サイト(SNS)、アマゾンはネット通販で、市場シェアの大半を占めています。これらの企業は、自ら運営するサービスを通して集めた個人情報を広告などに利用して、巨額な利益をあげています。
IT大企業の急成長を受けて、日本政府や財界は、強い危機感を募らせています。
経団連は、人工知能(AI)などの先端技術によって新しい社会を築くという「ソサエティー5・0」を実現するため、2017年2月に提言書を発表。未来投資会議などを「強力な司令塔」とし、国家戦略を策定するよう求めました。18年5月の提言書では、冒頭で「データを活用したビジネスには立ち遅れた」と焦りをにじませています。
経済産業省の産業構造審議会は16年4月、「新産業構造ビジョン」のとりまとめに向けた議論で、「GAFAが大規模なプラットフォーム(IT基盤)を形成しており、大きく水を空けられている」、「(GAFAなどによって)競争優位が固定され、支配的地位になっている可能性が懸念される」としています。こうした指摘を受け、政府は成長戦略「未来投資戦略2017」に「ソサエティ5・0」の実現を掲げ、16日に成立させた生産性向上特別措置法では、公的機関が保有するデータの民間活用を促す制度を盛り込みました。
ところが、IT大企業をめぐり、さまざまな問題が表面化。各国が規制に乗り出しています。
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米上院で証言にのぞむフェイスブックのザッカーバーグCEO=4月10日、ワシントン(ロイター)
欧州では制裁金
3月に、フェイスブックで最大8700万人分の個人データの流出が発覚しました。流出したデータが米大統領選の世論工作に使われたとされ、同社のマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)が米議会公聴会に招致されました。
欧州では欧州委員会が、昨年6月に反トラスト法(独占禁止法)に違反したとしてグーグルに対して約3000億円という巨額の制裁金を科しました。インターネット検索での支配的な地位を乱用し、自社が運営するサイトの上部に自社製品やサービスを表示するなどの優遇をしていた点を問題視しました。
欧州の取り組みと対照的なのが日本です。
日本では、メールの内容を解析して把握した個人の関心に合わせて、広告を表示するヤフーのサービスに対して、12年に総務省は、解析の目的や対象を表示することや、利用者が望めば解析を中止することなどを条件づけました。憲法が保障する通信の秘密を侵害する恐れがあったためです。
米企業規制せず
一方、米国のグーグルが運営する無料メールサービス「Gメール」でもメールの内容を解析し、広告を表示するサービスを行っていますが、日本政府は対策をとっていません。米国企業と日本企業の間で規制の適用が不公平になっています。
経済産業省と公正取引委員会は、17年6月に報告書を発表し、GAFAなどによるデータ独占に対する競争法上の課題や対応をまとめました。しかし、具体的な対策は示せていません。
ようやく日本も及び腰ながら3月に、独占禁止法が定める「優越的地位の乱用」に違反した容疑でアマゾンの日本法人であるアマゾンジャパンに対して公正取引委員会が立ち入り調査をしました。アマゾン側が値引いた額を「協力金」という名目で取引先に不当に負担させていた疑いです。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年5月26日付掲載
ITの大手企業は、インタネットを通じて集めたビックデータを活用して、大きな利益をあげています。
課税逃れを許さない取り組みが必要です。
インターネットを支配する巨大な通信技術(IT)企業が、世界のデータを独占しています。米IT大手のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンは頭文字をとって「GAFA」(ガーファ)と呼ばれ、独占的な地位を築いています。
グーグルは検索サービス、アップルはスマートフォン端末、フェイスブックはインターネット交流サイト(SNS)、アマゾンはネット通販で、市場シェアの大半を占めています。これらの企業は、自ら運営するサービスを通して集めた個人情報を広告などに利用して、巨額な利益をあげています。
IT大企業の急成長を受けて、日本政府や財界は、強い危機感を募らせています。
経団連は、人工知能(AI)などの先端技術によって新しい社会を築くという「ソサエティー5・0」を実現するため、2017年2月に提言書を発表。未来投資会議などを「強力な司令塔」とし、国家戦略を策定するよう求めました。18年5月の提言書では、冒頭で「データを活用したビジネスには立ち遅れた」と焦りをにじませています。
経済産業省の産業構造審議会は16年4月、「新産業構造ビジョン」のとりまとめに向けた議論で、「GAFAが大規模なプラットフォーム(IT基盤)を形成しており、大きく水を空けられている」、「(GAFAなどによって)競争優位が固定され、支配的地位になっている可能性が懸念される」としています。こうした指摘を受け、政府は成長戦略「未来投資戦略2017」に「ソサエティ5・0」の実現を掲げ、16日に成立させた生産性向上特別措置法では、公的機関が保有するデータの民間活用を促す制度を盛り込みました。
ところが、IT大企業をめぐり、さまざまな問題が表面化。各国が規制に乗り出しています。
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米上院で証言にのぞむフェイスブックのザッカーバーグCEO=4月10日、ワシントン(ロイター)
欧州では制裁金
3月に、フェイスブックで最大8700万人分の個人データの流出が発覚しました。流出したデータが米大統領選の世論工作に使われたとされ、同社のマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)が米議会公聴会に招致されました。
欧州では欧州委員会が、昨年6月に反トラスト法(独占禁止法)に違反したとしてグーグルに対して約3000億円という巨額の制裁金を科しました。インターネット検索での支配的な地位を乱用し、自社が運営するサイトの上部に自社製品やサービスを表示するなどの優遇をしていた点を問題視しました。
欧州の取り組みと対照的なのが日本です。
日本では、メールの内容を解析して把握した個人の関心に合わせて、広告を表示するヤフーのサービスに対して、12年に総務省は、解析の目的や対象を表示することや、利用者が望めば解析を中止することなどを条件づけました。憲法が保障する通信の秘密を侵害する恐れがあったためです。
米企業規制せず
一方、米国のグーグルが運営する無料メールサービス「Gメール」でもメールの内容を解析し、広告を表示するサービスを行っていますが、日本政府は対策をとっていません。米国企業と日本企業の間で規制の適用が不公平になっています。
経済産業省と公正取引委員会は、17年6月に報告書を発表し、GAFAなどによるデータ独占に対する競争法上の課題や対応をまとめました。しかし、具体的な対策は示せていません。
ようやく日本も及び腰ながら3月に、独占禁止法が定める「優越的地位の乱用」に違反した容疑でアマゾンの日本法人であるアマゾンジャパンに対して公正取引委員会が立ち入り調査をしました。アマゾン側が値引いた額を「協力金」という名目で取引先に不当に負担させていた疑いです。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年5月26日付掲載
ITの大手企業は、インタネットを通じて集めたビックデータを活用して、大きな利益をあげています。
課税逃れを許さない取り組みが必要です。