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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

有料職業紹介料 介護も高額 民間利用で年収30%分も

2022-03-15 07:05:24 | 働く権利・賃金・雇用問題について
有料職業紹介料 介護も高額 民間利用で年収30%分も
医療・福祉分野で関係の有料職業紹介の高額な手数料が問題になっています。本紙は1月20日付で看護師紹介料の問題を報じました。介護職員についても人手不足が深刻になるもとで、紹介料が高騰しています。介護事業者は現場を維持するため、高額な紹介料を払わざるをえなくなっています。公的紹介事業の拡充と改善を求める声が上がっています。(小林圭子)

公的事業の改善求める声
福岡県内で訪問介護事業所などを運営するNPO法人は、昨年4~12月までに人材紹介会社から訪問介護職員14人とデイサービス職員1人、計15人を採用しました。紹介料の総額は743万円に上ります。
同法人の人事担当者は「紹介料は5、6年前までは介護職員の年収の20%程度だったが、最近は25~30%が平均になっている」といいます。
「国民が払った介護保険料やサービスの利用料などが、紹介料として事業者に流れている。非常にゆがんだ形だ。紹介会社への規制など有料紹介の仕組みを何とかしてほしい」と訴えます。

人手不足背景に
1人の求職者に対しどれだけの求人があるかを示す求人倍率は、介護分野で大きく高まっています。厚生労働省の調査によると、2020年度の全職業平均の求人倍率は1・0倍に対し、介護関係職種は3・9倍でした。
(グラフ)




訪問介護はさらに人手不足が深刻です。調理や排せつ、入浴など生活全般を1人で介助する訪問介護。前出の担当者は「時間の制約などがあり熟練した技術が求められる。在宅の生活を支える介護の基盤だが、なり手が少ない。お金をかけてでも職員を確保しなければならず、無理をして支払った」と話します。
同法人では、紹介会社のほかに職員からの紹介やインターネットなどの広告で16人を採用。一方、公的事業所のハローワークからの採用は2人でした。
この担当者は「公的な紹介事業が機能していない」として、こう指摘します。「仕事を自分で探すのは大変なことで、求職者は不安を抱えている。ハローワークは、その不安に応えるようなサービスになっていないように感じる。もっと求職者の立場に立った行政サービスが必要だ」

トラブルも発生
山形県の介護事業所の人事担当者は、「介護福祉士の紹介料は一切値引きしない。紹介会社の職員が『需要が多く、今は看護職より介護職の方が紹介料は高い』と言っていた」と語ります。
紹介会社が増え、他県からも毎日紹介の連絡がきます。さまざまな会社がありトラブルになることも。
紹介会社経由で入職したある職員は、1週間して体調不良で欠勤が続きました。本人に確認すると、「実は抑うつ状態で前職を退職したばかり。紹介会社に強く背中を押されて働こうと思ったが、やっぱり無理」と話したといいます。紹介会社との契約では、紹介者の不利益になることは伝えないことになっています。
同事業所では、求職者に納得して選んでほしいという思いから、紹介会社に細かく就労条件を伝えています。しかし、面接すると「面接に行くだけでいい」「詳しいことは面接で直接確認して」と、紹介会社に言われたという人もいたといいます。
この担当者は「応募前の施設見学や面接に費やす負担は大きいが、高齢者の介護がしたいという人が一緒に働いてくれることが何よりもありがたい。そういう人に来てもらいたい」と話します。
同事業所が利用するハローワークでは、職員が減り窓口の受け付け時間も短くなっているといいます。「公的紹介事業にしっかり予算をつけるべきです。民間と比べて求職者へのケアやサービスが足りない。残業の有無など求職者が面接で聞きづらいことも、紹介会社が聞いてくれる点は大きいと思う」と指摘します。

抜本的賃上げを
厚労省の20年賃金調査によると、平均賃金(月額)は、全産業平均で40・6万円に対し、介護施設職員は30・0万円と10万円以上低くなっています。(図)




この担当者は、介護職を希望する人が少ないことが根本の問題だと強調します。「介護報酬を抜本的に引き上げ、介護業界に携わる全ての職種の賃金を上げることが何よりも必要です。一般の企業ぐらいの賃金になれば、介護職で働こうと思う人が増え、学生もためらわずに介護の分野に進学できるようになると思う」

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年3月7日付掲載


「国民が払った介護保険料やサービスの利用料などが、紹介料として事業者に流れている。非常にゆがんだ形だ。紹介会社への規制など有料紹介の仕組みを何とかしてほしい」
「仕事を自分で探すのは大変なことで、求職者は不安を抱えている。ハローワークは、その不安に応えるようなサービスになっていないように感じる。もっと求職者の立場に立った行政サービスが必要だ」
紹介会社経由で入職したある職員は、1週間して体調不良で欠勤が続きました。本人に確認すると、「実は抑うつ状態で前職を退職したばかり。紹介会社に強く背中を押されて働こうと思ったが、やっぱり無理」と。
「応募前の施設見学や面接に費やす負担は大きいが、高齢者の介護がしたいという人が一緒に働いてくれることが何よりもありがたい。そういう人に来てもらいたい」
紹介してなんぼという民間の職業紹介業者よりも、公的サービスで求職者にもっとケアできるようにすべきです。
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