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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

経団連 「経労委報告」を読む② 「デフレ脱却」可能か

2024-02-14 07:13:23 | 働く権利・賃金・雇用問題について
経団連 「経労委報告」を読む② 「デフレ脱却」可能か
中央大学教授 松丸和夫さん

経団連の独自集計によれば、昨年の春闘の賃上げ率は定期昇給分を含めて大手が3・99%、中小は3%と30年ぶりの高い水準となりました。しかし、連合が定期昇給分としている2%を差し引けば2022年度の生鮮食品を除く物価上昇率3%を超えませんでした。他方、政府の「毎月勤労統計」の23年11月速報では、労働者1人あたりの賃金は物価を考慮した実質で、前年同月比3%も減っています。マイナスが21カ月も続きました。まさに、物価高に賃金の上昇が追いつかない状況です。
「経労委報告」は、「デフレ完全脱却」のための「構造的な賃金引き上げ」の起点・転換点として23年の春闘を位置づけました。その上で、24春闘も賃金引き上げのモメンタム(勢い)を維持・強化することが、経団連・企業の社会的責務とまで宣言しています。
しかし、このデフレ脱却は、物価を上回る社会全体の賃上げや公的年金等の社会保障給付の水準を改善することなしには、それこそモメンタムが高まりません。実際、労働生産性を実質賃金の伸び率が上回った年は、過去数回だけでした。賃金は、たいてい企業の生産性向上より低く抑えられてきました。




「生産性」金縛り
もう一度「経労委報告」の第1部の題名に注目してみましょう。そこには「構造的な賃金引き上げ」の実現に不可欠な生産性の改善・向上と明記されています。この考え方は、企業などが生み出す経済的価値、付加価値生産性の上昇がなければ賃金の引き上げは不可能だという理論です。
しかし、これは本当でしょうか。経済がグローバル化した今日では、為替レートが円安に振れると、日本のGDP(国内総生産)は、ドルによる国際比較では減少します。
マクロ経済の指標であるGDPを増加させることが、デフレ脱却だとすれば、異常な円安を是正するだけでデフレは克服できます。しかし、労働者・国民のくらしは、国内物価の上昇により苦しくなっています。大企業の内部留保が史上最高水準を更新し続け、国民生活は収入が減少し、悪化するばかりです。

賃金上がらない
「経労委報告」は、相変わらず「生産性基準原理」にしがみつき、生産性が上がらなければ賃金は上げられないという企業の論理に徹しています。賃金は、本来労働者の生活費をまかなうものでなければなりません。賃金が、企業の生産性の向上よりも低く抑えられてきたことこそ、賃金の上がらない特異な日本の現状を生み出してきました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年2月9日付掲載


「経労委報告」の第1部の題名に注目。そこには「構造的な賃金引き上げ」の実現に不可欠な生産性の改善・向上と明記。
賃金は、本来労働者の生活費をまかなうものでなければなりません。賃金が、企業の生産性の向上よりも低く抑えられてきたことこそ、賃金の上がらない特異な日本の現状を生み出して来た。

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