2020年回顧③ 米大統領選 高投票率 バイデン氏勝利
11月に行われた米大統領選は、民主党のバイデン前副大統領がトランプ大統領(共和党)に勝利しました。フロリダ大プロジェクトの集計によると投票率は66・7%で、1900年以来、120年ぶりの歴史的な高水準となりました。
国民の分断をあおった4年間のトランプ流政治が、多くの有権者の危機感と政治への関心を高めました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各州が郵便投票や期日前投票を促進したことも、投票率を後押ししました。
バイデン氏は2008年のオバマ前大統領を抜き、約8128万票の史上最多得票を集めました。とりわけ同氏を支持したのは若者や女性、黒人、ヒスパニック、アジア系など、人種でも世代構成でも多様な有権者です。トランプ氏の就任以来、国民があらゆる分野で地道に続けてきた抵抗運動が、反トランプを一致点にした広範な国民の結束につながりました。
民主党予備選では、草の根の運動と結びつき野放しの資本主義を批判する「民主的社会主義者」サンダース上院議員をはじめとする、進歩派の候補者が善戦しました。中道派のバイデン氏は、公立大学の授業料無償化や学生ローン返済軽減といった進歩派の政策を、予算規模を縮小させて自らの政策に取り込みました。
14日、デラウェア州ウィルミントンで演説するバイデン次期大統領(ロイター)
一方のトランプ氏も、08年のオバマ氏および16年の自身の得票を大きく上回る7422万票を獲得。トランプ氏は強固な支持基盤としてきた白人層の支持率をほぼ維持する一方、民主党が支持基盤としてきた非白人層の中でも4年前より支持を広げました。
また、トランプ氏はバイデン氏の勝利が確実になった後も、選挙で「不正があった」、と根拠のない主張を続け、法廷闘争を乱発。自らの勝利のため民主主義のルールすら無視するトランプ氏に、裁判所は次々と敗訴を言い渡す一方、共和党の多くの議員・公職者が擁護・支持に回りました。
選挙人の投票によって結果が確定した後も、トランプ氏は敗北を認めておらず、24年に向けた再出馬を示唆しています。4年間でトランプ氏が広げてきた事実に基づかない自国第一の政治や、国民の分断がバイデン氏就任後も容易には解消しないことを示しています。
(ワシントン=池田晋)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年12月18日付掲載
民主党の予備選挙で「民主的社会主義者」サンダース上院議員をはじめとする、進歩派の候補者が善戦。そのことが、バイデン氏の政策に公立大学の授業料無償化や学生ローン返済軽減などを取り込ませました。
投票率が120年ぶりの高水準に。名実とともに民主主義のもとで選ばれたバイデン新大統領です。
11月に行われた米大統領選は、民主党のバイデン前副大統領がトランプ大統領(共和党)に勝利しました。フロリダ大プロジェクトの集計によると投票率は66・7%で、1900年以来、120年ぶりの歴史的な高水準となりました。
国民の分断をあおった4年間のトランプ流政治が、多くの有権者の危機感と政治への関心を高めました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各州が郵便投票や期日前投票を促進したことも、投票率を後押ししました。
バイデン氏は2008年のオバマ前大統領を抜き、約8128万票の史上最多得票を集めました。とりわけ同氏を支持したのは若者や女性、黒人、ヒスパニック、アジア系など、人種でも世代構成でも多様な有権者です。トランプ氏の就任以来、国民があらゆる分野で地道に続けてきた抵抗運動が、反トランプを一致点にした広範な国民の結束につながりました。
民主党予備選では、草の根の運動と結びつき野放しの資本主義を批判する「民主的社会主義者」サンダース上院議員をはじめとする、進歩派の候補者が善戦しました。中道派のバイデン氏は、公立大学の授業料無償化や学生ローン返済軽減といった進歩派の政策を、予算規模を縮小させて自らの政策に取り込みました。
14日、デラウェア州ウィルミントンで演説するバイデン次期大統領(ロイター)
一方のトランプ氏も、08年のオバマ氏および16年の自身の得票を大きく上回る7422万票を獲得。トランプ氏は強固な支持基盤としてきた白人層の支持率をほぼ維持する一方、民主党が支持基盤としてきた非白人層の中でも4年前より支持を広げました。
また、トランプ氏はバイデン氏の勝利が確実になった後も、選挙で「不正があった」、と根拠のない主張を続け、法廷闘争を乱発。自らの勝利のため民主主義のルールすら無視するトランプ氏に、裁判所は次々と敗訴を言い渡す一方、共和党の多くの議員・公職者が擁護・支持に回りました。
選挙人の投票によって結果が確定した後も、トランプ氏は敗北を認めておらず、24年に向けた再出馬を示唆しています。4年間でトランプ氏が広げてきた事実に基づかない自国第一の政治や、国民の分断がバイデン氏就任後も容易には解消しないことを示しています。
(ワシントン=池田晋)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年12月18日付掲載
民主党の予備選挙で「民主的社会主義者」サンダース上院議員をはじめとする、進歩派の候補者が善戦。そのことが、バイデン氏の政策に公立大学の授業料無償化や学生ローン返済軽減などを取り込ませました。
投票率が120年ぶりの高水準に。名実とともに民主主義のもとで選ばれたバイデン新大統領です。
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