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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

追い込まれつつ逃げ道探す 経労委報告を読む③ 最賃上げ 格差是正こそ

2018-02-18 11:19:31 | 働く権利・賃金・雇用問題について
追い込まれつつ逃げ道探す 経労委報告を読む③ 最賃上げ 格差是正こそ
労働総研事務局長 藤田実さんに聞く


経団連「経労委報告」(以下、「報告」)は、最低賃金について、中小企業の経営を引き合いに出して引き上げに消極的な姿勢を示しています。
最賃引き上げは、雇用の喪失や企業の廃業につながるなどとマイナス面ばかりを強調しています。
この間の最賃引き上げが、中小企業にとって負担になっているのは事実です。そこをどう支援するか。法人税減税をされても、法人税は利益から差し引かれるため、法人税を払える中小企業は多くなく意味がありません。



最賃の大幅引き上げを訴える全労連組合員と署名に応じる人=1月15日、東京・新宿駅前

中小企業支援を
それに対し中小企業経営者からは、社会保険料の負担が重いと、よくいわれます。政府目標の時給1000円実現にとっても、社会保険料負担の減免、軽減など直接的な支援がどうしても必要です。
他方で、大企業の有利な地位を利用した下請けいじめなど不公正な取引は是正すべきです。不当な下請け単価の引き下げや協賛金の支払いなどの負担をさせず、中小企業が利益を確保できる環境をつくる必要があります。
「報告」がこれらの問題にふれることなく、これ以上の引き上げに否定的な態度をとるのは極めて問題です。
最賃引き上げは、賃金を増やして消費を拡大し、それによって消費財の投資も拡大します。企業にとってのマイナス面だけでなく、経済全体を向上させる側面があることをきちんと見るべきです。
あわせて「報告」はこの数年、産業別に設定されている特定最低賃金の廃止を主張しています。地域別最賃が引き上がり、特定最賃との差が縮小していることを理由にしています。
特定最賃は、産業ごとに決定するもので、労使のイニシアチブで産業の適正な賃金相場を形成していくものです。そうなれば、労働組合のない企業でも賃金水準の一定の参考となります。そのもとで賃金を決めれば底上げにつながり、産業ごとの横断的な賃金形成につながります。
地域別最賃は、市場賃金を規制し、どんな仕事でも、その最低限を保障するものです。これに対して、特定最賃はその産業で働く一人前の労働者の最低限を決めるものです。
そもそも性格が違うものであり、特定最賃の廃止を金額の差だけでいうのはおかしなことです。特定最賃の役割が発揮されるように引き上げていくことが求められています。労働組合には、その点でも賃金相場を形成する役割があると思います。

底上げめざして
今春闘では、賃金底上げが強調されています。それには、中小企業や非正規雇用で働くすべての労働者の賃金を引き上げることが必要です。
大企業と中小企業との規模別の格差が、賃金格差につながっています。しかし、その産業で働く労働者なら、この賃金にすべきだという水準があれば、産業全体の底上げにもつながっていきます。その際、中小企業にどういう支援が必要か、が間われます。単価の設定や取引慣行をはじめ、産業全体として検討する必要があると思います。
底上げ、格差是正は、個別企業の労使だけでは解決しません。人手不足がいわれるもとで、労使が各産業全体でどういう賃金水準を目指すのか、真剣な検討が必要ではないでしょうか。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年2月15日付掲載


中小企業も含めて大幅賃上げを勝ち取るためには、下請け単価の引き上げとともに、政府に社会保険料の負担軽減を求める事が必要。


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