安斎育郎さんと考える放射能汚染⑦ 外部被ばくから身を守る
今回は、被ばくから身を守る具体的方法について説明していきます。第4回で外部被ばくと内部被ばくの違いを説明しましたが、今回説明する三つの原則はあくまでもからだの外からの放射線による外部被ばくの防護原則です。内部被ばくには全く当てはまりません。
第一の原則は、放射線をさえぎる「遮蔽(しゃへい)」です。放射線の線源と自分の間に遮蔽物を置き、浴びる放射線量を減らします。ガンマ線など透過力の強い放射線を遮蔽するには、鉛など原子番号の大きな物質が一番いいのですが、鉄でもコンクリートでも水でも土でも、それぞれに効果があります。
第二の原則は、「距離」をとることです。放射線源と自分との距離をできるだけ大きくとります。線源が1カ所にある場合には、被ばく線量はそこから、距離の2乗に反比例しますので、線源から2倍の距離をとれば被ばくは4分の1、3倍とれば9分の1に減ります。無用な放射線源は遮蔽して食い止めるのが一番ですが、それができない場合には、線源からなるべく遠くへ逃げることが大事です。
第三の原則は、「時間」です。放射線にさらされる時間をできるだけ短くします。被ばく時間が2倍になれば、浴びる放射線量も2倍になります。
この三つの原則は遮蔽、距離、時間の順に重要です。遮蔽をして人がいるところに到達する放射線量を減らすことが本質的に重要です。それができなければ距離をとって減らし、最後に、どうしてもその場にいなければならない場合に、被ばく時間を短縮するのが原則です。遮蔽が不十分なままで、距離や時間で線量減少をはかるのは本末転倒です。
除染どうするか
放射線から体を守る基本は可能な限り、放射線源を取り除くことです。ですから、地表に雨などで降り積もっている放射性物質を取り除く除染が必要です。
校庭や園庭なら表層の土を数センチはぎとって、グラウンドの一隅に掘った穴に埋めて表土をシートで覆い、その上に汚染されていない土をかけて、立ち入りを制限すればよいでしょう。表層の土を深層の土と入れ替えただけでは、深いところに放射性物質がある状況を許すことになるので、根本的な方法とは言えません。
アスファルトやコンクリートなら水でよく洗い流し、側溝の泥はかき出すことが有効です。
土に吸着しやすく、水とともに移動する放射性セシウムは、降下した初期にはまだ土壌深くには浸透せず、表層の数センチ程度の深さにとどまっています。除染の時期は早ければ早いほど効果があります。
汚染した土壌や泥などの最終処分は国が汚染レベルに応じて対策をとるべきです。
私は5月に福島市を訪れた機会に、ある保育園の協力を得て、園庭で表層の土を削ってどの程度の放射線防護効果があるかを確かめました。たとえば半径3メートルの範囲の表土を削ってみると、中心部の放射線レベルは半分以下に減りました。
学校のグラウンドや保育園の園庭が放射能で汚染されていたら、建物の内部でもグラウンドに面した窓際では放射線量が高く、部屋の中央部に行けば低くなります。
福島市内の保育園の測定では、園庭に面した部屋で毎時1マイクロシーベルトあったものが、部屋の中央部ではほぼ半減しました。放射線レベルが心配になる地域では、窓際にロッカーや本棚、遊具入れを置くなどして放射線を防ぐとともに、子どもたちが窓際よりも部屋の中央で過ごすような工夫も意味があります。
自治体による除染が始まっています。線量の高い地域の除染については国が責任を持つことが必要です。また、市民自らが除染のボランティア活動をすることも大事だと思います。
線量測定の注意
除染の前にまず放射線量の測定が必要です。各地の自治体で測定が行われていますが、数値にはばらつきがあります。測定機には、電離箱式サーベイメーター、シンチレーション式サーベイメーター、GM管式ガイガーカウンターなど多くの種類があって、それぞれ目的が違います。測定機の種類や機種が違うと、測定値は何倍も違ったりします。
測定の高さが地上1メートルか地表面か、測定方向が前向きか下向きかによっても値が違ってきます。
測る高さを同じにし、どの機種でどの向きか、など、条件を同じにして測定、公表して、利用できるようにすれば、どの地点が相対的に高いのかの汚染マップができます。福島県内の線量の高い地域では各戸ごとの細かい汚染マップも必要です。
こうしたデータを政府がホームページで公表しているスピーディ(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の結果と突き合わせれば、おおまかな汚染の傾向が把握でき、除染や被ばく評価に役立ちます。
「しんぶん赤旗」日曜版 2011年9月11日付掲載
学校の校庭や通学路などの除染は大事ですね。特に、子どもが遊びそうな空地や土手などの放射線が多いといいます。
そのようなところを特定して除染していかないといけないんでしょうね。
アスファルトやコンクリートなら水でよく流すことでOKなんですね。でも、側溝の泥はかき出さないといけません。
問題になるセシウムは、土に吸着しやすく、水とともに移動するといいます。
除染の大事さがわかりまた。
今回は、被ばくから身を守る具体的方法について説明していきます。第4回で外部被ばくと内部被ばくの違いを説明しましたが、今回説明する三つの原則はあくまでもからだの外からの放射線による外部被ばくの防護原則です。内部被ばくには全く当てはまりません。
第一の原則は、放射線をさえぎる「遮蔽(しゃへい)」です。放射線の線源と自分の間に遮蔽物を置き、浴びる放射線量を減らします。ガンマ線など透過力の強い放射線を遮蔽するには、鉛など原子番号の大きな物質が一番いいのですが、鉄でもコンクリートでも水でも土でも、それぞれに効果があります。
第二の原則は、「距離」をとることです。放射線源と自分との距離をできるだけ大きくとります。線源が1カ所にある場合には、被ばく線量はそこから、距離の2乗に反比例しますので、線源から2倍の距離をとれば被ばくは4分の1、3倍とれば9分の1に減ります。無用な放射線源は遮蔽して食い止めるのが一番ですが、それができない場合には、線源からなるべく遠くへ逃げることが大事です。
第三の原則は、「時間」です。放射線にさらされる時間をできるだけ短くします。被ばく時間が2倍になれば、浴びる放射線量も2倍になります。
この三つの原則は遮蔽、距離、時間の順に重要です。遮蔽をして人がいるところに到達する放射線量を減らすことが本質的に重要です。それができなければ距離をとって減らし、最後に、どうしてもその場にいなければならない場合に、被ばく時間を短縮するのが原則です。遮蔽が不十分なままで、距離や時間で線量減少をはかるのは本末転倒です。
除染どうするか
放射線から体を守る基本は可能な限り、放射線源を取り除くことです。ですから、地表に雨などで降り積もっている放射性物質を取り除く除染が必要です。
校庭や園庭なら表層の土を数センチはぎとって、グラウンドの一隅に掘った穴に埋めて表土をシートで覆い、その上に汚染されていない土をかけて、立ち入りを制限すればよいでしょう。表層の土を深層の土と入れ替えただけでは、深いところに放射性物質がある状況を許すことになるので、根本的な方法とは言えません。
アスファルトやコンクリートなら水でよく洗い流し、側溝の泥はかき出すことが有効です。
土に吸着しやすく、水とともに移動する放射性セシウムは、降下した初期にはまだ土壌深くには浸透せず、表層の数センチ程度の深さにとどまっています。除染の時期は早ければ早いほど効果があります。
汚染した土壌や泥などの最終処分は国が汚染レベルに応じて対策をとるべきです。
私は5月に福島市を訪れた機会に、ある保育園の協力を得て、園庭で表層の土を削ってどの程度の放射線防護効果があるかを確かめました。たとえば半径3メートルの範囲の表土を削ってみると、中心部の放射線レベルは半分以下に減りました。
学校のグラウンドや保育園の園庭が放射能で汚染されていたら、建物の内部でもグラウンドに面した窓際では放射線量が高く、部屋の中央部に行けば低くなります。
福島市内の保育園の測定では、園庭に面した部屋で毎時1マイクロシーベルトあったものが、部屋の中央部ではほぼ半減しました。放射線レベルが心配になる地域では、窓際にロッカーや本棚、遊具入れを置くなどして放射線を防ぐとともに、子どもたちが窓際よりも部屋の中央で過ごすような工夫も意味があります。
自治体による除染が始まっています。線量の高い地域の除染については国が責任を持つことが必要です。また、市民自らが除染のボランティア活動をすることも大事だと思います。
線量測定の注意
除染の前にまず放射線量の測定が必要です。各地の自治体で測定が行われていますが、数値にはばらつきがあります。測定機には、電離箱式サーベイメーター、シンチレーション式サーベイメーター、GM管式ガイガーカウンターなど多くの種類があって、それぞれ目的が違います。測定機の種類や機種が違うと、測定値は何倍も違ったりします。
測定の高さが地上1メートルか地表面か、測定方向が前向きか下向きかによっても値が違ってきます。
測る高さを同じにし、どの機種でどの向きか、など、条件を同じにして測定、公表して、利用できるようにすれば、どの地点が相対的に高いのかの汚染マップができます。福島県内の線量の高い地域では各戸ごとの細かい汚染マップも必要です。
こうしたデータを政府がホームページで公表しているスピーディ(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の結果と突き合わせれば、おおまかな汚染の傾向が把握でき、除染や被ばく評価に役立ちます。
「しんぶん赤旗」日曜版 2011年9月11日付掲載
学校の校庭や通学路などの除染は大事ですね。特に、子どもが遊びそうな空地や土手などの放射線が多いといいます。
そのようなところを特定して除染していかないといけないんでしょうね。
アスファルトやコンクリートなら水でよく流すことでOKなんですね。でも、側溝の泥はかき出さないといけません。
問題になるセシウムは、土に吸着しやすく、水とともに移動するといいます。
除染の大事さがわかりまた。
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