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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

動き出したIPEF② 同盟関係足掛かりに

2022-07-20 07:10:13 | 国際政治
動き出したIPEF② 同盟関係足掛かりに
インド太平洋経済枠組み(IPEF=アイペフ)の構想をバイデン米政権が初めて明らかにしたのは、2021年10月末に参加した東アジアサミットの場でした。
ただ、このときは、デジタル化や脱炭素・クリーンエネルギー、サプライチェーン(供給網)強化などをうたっているにすぎず、具体的な点には触れられていませんでした。
今年2月11日にバイデン政権は、「インド太平洋戦略」を発表しました。ここでは、「米国はインド太平洋地域大国である」「米国は長年にわたり、インド太平洋地域を米国の安全保障と繁栄にとって死活にかかわる地域と認識してきた」と強調しました。



IPEF(インド太平洋経済枠組み)関連行事=5月23日(首相官邸ホームページから)

危機感がにじむ
同構想では、米国は第2次世界大戦後、オーストラリア、日本、韓国、フィリピン、タイとの同盟条約を通じてインド太平洋地域との関係を強固なものにしたものの、今後、同盟国およびパートナー国とともに同地域の発展に貢献しなければ、国益を増進させることはできない、と危機感をにじませていました。
さらに、インド太平洋地域で影響力の拡大を図る中国について、次のように指摘しました。
「アメリカの関心が高まっている背景には、インド太平洋が中国を中心とした大きな課題に直面しているという事実がある。中国は、経済、外交、軍事、技術力を結集して、インド太平洋での勢力範囲を拡大し、世界で最も影響力のある大国になろうとしている。中国の強要と攻勢は世界中に及んでいるが、インド太平洋では最も顕著だ」
インド太平洋および世界に恩恵をもたらしてきた規則や規範が中国によって変更されるかどうか、今後10年間の米国などの集団的な取り組みが左右する、としたのです。
オースティン米国防長官は6月11日、シンガポールで開催された英国の国際戦略研究所主催のアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に出席し、IPEF構想に言及しました。「インド太平洋はわれわれの優先作戦地域である」「21世紀の世界の道筋を決定する地域は、この地域以外になく」「インド太平洋はわれわれの戦略的中心である」
と強調したのです。

軍事的性格持つ
その一方で、「一方的な現状変更に反対するという共通のコミットメントを再確認しなければならない」
と、会議参加各国・地域に呼び掛け、中国をけん制しました。国防長官の発言は、IPEFが、対中戦略の一環であることを裏付けたものです。
さらに、国防長官は、インド太平洋地域に米軍兵士が30万人以上駐留していることや、2023年度予算としてバイデン政権が米軍の能力向上を目的とした基金「太平洋抑止イニシアチブ」に61億ドルを積み上げたことを例示しました。パートナー国と新興技術の研究成果などを共有するためにもサプライチェーンの安全性・強靱(きょうじん)性を確保することの重要性を訴え、宇宙領域やサイバー領域のイノベーション、人工知能(AI)や極超音速技術などの新興技術は安全保障の観点からも重要としました。また、宇宙領域やサイバー領域を含むすべての領域への投資の必要性を強調。そして、ステルス機、無人プラットフォーム、長距離精密兵器など、攻撃をより確実に抑止できる新しい能力の開発に取り組むことなどを強調しました。
IPEFという経済枠組みは、単なる経済枠組みにとどまらず、軍事的性格をもっていることを示しています。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年7月16日付掲載


東アジアサミットが仮想敵をもたず、東アジアの地域を包摂的包み込むのに対して、アメリカの「インド太平洋戦略」は、明らかに中国包囲網。
それも、経済的だけでなく、軍事的にも包囲をねらっています。
日本はそれに加担していいのでしょうか。

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