動き出したIPEF① 中国への対抗 念頭に
バイデン米国大統領は今年5月23日、訪問した日本でインド太平洋経済枠組み(Indo-Pacific Economic Frameworkの頭文字をとってIPEF=アイペフ)の立ち上げを発表しました。米国主導の新たな経済枠組みが、もっとも忠実な同盟国である日本で表明されたところに、米国の意図が現れています。(金子豊弘)
共同声明は、参加国間で経済的関与を深めることが、成長、平和および繁栄の継続にとって極めて重要であるとした上で、IPEFを構成する四つの柱について将来の交渉に向けた議論を開始するとしました。環太平洋連携協定(TPP)のような自由貿易協定ではなく、関税交渉もありません。
共同声明には、明記されてはいませんが、経済覇権を争う中国への対抗を念頭におき、インド太平洋地域に米国主導の中国包囲網を形成することが発足の狙いであることは明らかです。
トランプ前政権は、米国の産業や雇用を脅かすとして環太平洋の貿易・投資協定であるTPPから離脱しました。その間隙をつく形で中国はTPPへの参加を申請し、影響力を強めています。
IPEF(インド太平洋経済枠組み)関連行事(写真 内閣広報室)=5月23日
「われわれの地」
バイデン大統領はIPEF発足時の記者会見で、「21世紀の大いなる経済成長は、このわれわれの地であるインド太平洋地域で記されることになるだろう」と述べました。米国は、同地域の成長力を米国主導で取り仕切っていこうとしています。
IPEFは現在、米国、オーストラリア、ブルネイ、フィジー、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの14力国が創設メンバーとなっています。
発足が発表された5月23日の時点では、参加国はフィジーを除く13力国でした。その後、フィジーが枠組みに参加しました。米国は、「今やIPEFは北東および東南アジア、南アジア、オセアニア、および太平洋諸島のすべての地域的多様性を反映することになった」と歓迎しました。
四つの柱のうちの①貿易については、デジタル経済における協力を含む、貿易・技術政策において創造的なアプローチを発展するよう努めるとしました。
②のサプライチェーンについては、強靱(きょうじん)で統合されたサプライチェーンの構築に向け、危機対応策の調整、事業継続をより確実にするための協力の拡大、物流の効率、主要原材料・加工材料、半導体、重要鉱物、およびクリーンエネルギー技術への参入を確保するとしました。
③のクリーンエネルギー・脱炭素化・インフラについては、パリ協定の目標達成に向け、経済を脱炭素化し、気候の影響に対する強靱性を構築するクリーンエネルギー技術の開発と展開を加速するとしました。
④の税・腐敗防止については、租税回避および腐敗を抑制することを目的に公正な経済を促進するとしました。
強い関与を示す
岸田首椙はIPEF立ち上げに対し、「バイデン大統領がこの地域を訪問し、ここ日本で自らIPEFの立ち上げを宣言されたことは、この地域への米国の強いコミットメントを明確に示すものです。バイデン大統領の力強いリーダーシップを高く評価します」と米国を持ち上げ、「日本は、IPEFに参加し、米国と緊密に連携し、また、ASEAN諸国を始めとする地域のパートナーと手を携えて、新たな枠組み作りに協力して参ります」と表明しました。(つづく)(2回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年7月15日付掲載
共同声明には、明記されてはいませんが、経済覇権を争う中国への対抗を念頭におき、インド太平洋地域に米国主導の中国包囲網を形成することが発足の狙いであることは明らか。
バイデン大統領はIPEF発足時の記者会見で、「21世紀の大いなる経済成長は、このわれわれの地であるインド太平洋地域で記されることになるだろう」と。
アメリカにとって、インド太平洋地域が「われわれの地」だとか。
バイデン米国大統領は今年5月23日、訪問した日本でインド太平洋経済枠組み(Indo-Pacific Economic Frameworkの頭文字をとってIPEF=アイペフ)の立ち上げを発表しました。米国主導の新たな経済枠組みが、もっとも忠実な同盟国である日本で表明されたところに、米国の意図が現れています。(金子豊弘)
共同声明は、参加国間で経済的関与を深めることが、成長、平和および繁栄の継続にとって極めて重要であるとした上で、IPEFを構成する四つの柱について将来の交渉に向けた議論を開始するとしました。環太平洋連携協定(TPP)のような自由貿易協定ではなく、関税交渉もありません。
共同声明には、明記されてはいませんが、経済覇権を争う中国への対抗を念頭におき、インド太平洋地域に米国主導の中国包囲網を形成することが発足の狙いであることは明らかです。
トランプ前政権は、米国の産業や雇用を脅かすとして環太平洋の貿易・投資協定であるTPPから離脱しました。その間隙をつく形で中国はTPPへの参加を申請し、影響力を強めています。
IPEF(インド太平洋経済枠組み)関連行事(写真 内閣広報室)=5月23日
「われわれの地」
バイデン大統領はIPEF発足時の記者会見で、「21世紀の大いなる経済成長は、このわれわれの地であるインド太平洋地域で記されることになるだろう」と述べました。米国は、同地域の成長力を米国主導で取り仕切っていこうとしています。
IPEFは現在、米国、オーストラリア、ブルネイ、フィジー、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの14力国が創設メンバーとなっています。
発足が発表された5月23日の時点では、参加国はフィジーを除く13力国でした。その後、フィジーが枠組みに参加しました。米国は、「今やIPEFは北東および東南アジア、南アジア、オセアニア、および太平洋諸島のすべての地域的多様性を反映することになった」と歓迎しました。
四つの柱のうちの①貿易については、デジタル経済における協力を含む、貿易・技術政策において創造的なアプローチを発展するよう努めるとしました。
②のサプライチェーンについては、強靱(きょうじん)で統合されたサプライチェーンの構築に向け、危機対応策の調整、事業継続をより確実にするための協力の拡大、物流の効率、主要原材料・加工材料、半導体、重要鉱物、およびクリーンエネルギー技術への参入を確保するとしました。
③のクリーンエネルギー・脱炭素化・インフラについては、パリ協定の目標達成に向け、経済を脱炭素化し、気候の影響に対する強靱性を構築するクリーンエネルギー技術の開発と展開を加速するとしました。
④の税・腐敗防止については、租税回避および腐敗を抑制することを目的に公正な経済を促進するとしました。
強い関与を示す
岸田首椙はIPEF立ち上げに対し、「バイデン大統領がこの地域を訪問し、ここ日本で自らIPEFの立ち上げを宣言されたことは、この地域への米国の強いコミットメントを明確に示すものです。バイデン大統領の力強いリーダーシップを高く評価します」と米国を持ち上げ、「日本は、IPEFに参加し、米国と緊密に連携し、また、ASEAN諸国を始めとする地域のパートナーと手を携えて、新たな枠組み作りに協力して参ります」と表明しました。(つづく)(2回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年7月15日付掲載
共同声明には、明記されてはいませんが、経済覇権を争う中国への対抗を念頭におき、インド太平洋地域に米国主導の中国包囲網を形成することが発足の狙いであることは明らか。
バイデン大統領はIPEF発足時の記者会見で、「21世紀の大いなる経済成長は、このわれわれの地であるインド太平洋地域で記されることになるだろう」と。
アメリカにとって、インド太平洋地域が「われわれの地」だとか。
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