2020年回顧⑥ 香港 国安法施行 弾圧強まる
昨年、数百万人規模で盛り上がった香港の反政府運動は、今年6月の香港国家安全維持法(国安法)の施行で、強権的に弾圧されました。政権側の弾圧は、香港の自由や民主を求めるデモや集会だけでなく、メディアや教育、議会などあらゆる分野に及んでいます。
中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は6月30日、国安法を全会一致で可決。香港で即日施行されました。
国安法は、①国家分裂②政権転覆③テロ活動④外国勢力と結託して国の安全に危害を加える行為―に対し、最高刑で終身刑の刑罰を科します。行為の有無などの判断は中国当局の意向が反映されることになります。そして容疑者を中国本土で裁判にかけることも可能になりました。
周氏ら民主活動家に実刑判決を言い渡した西九竜裁判所前に集まった支援者=12月2日、香港(ロイター)
国安法は香港の法律の上に君臨することになり、国安法の解釈権は全人代常務委が握ることになります。同法の施行に対し、香港の立法会(議会)は何ら関与できませんでした。
法律の中身も成立過程も、香港の高度な自治を保障し、中国自身が国際社会に公約した「一国二制度」に反するものです。国際社会から厳しい批判が起こりました。
12月7日までに40人が国安法で逮捕されました。その中には、若手民主活動家の周庭氏、香港紙・リンゴ日報の創業者である黎智英(れい・ちえい)氏も含まれています。黎氏は11日に国安法違反で起訴されました。周氏は国安法で起訴されていないものの、昨年6月に違法集会を扇動した罪で禁鋼刑を下されました。
当局は、新型コロナウイルスの感染拡大を口実に、9月に予定されていた立法会選の1年延期を強行しました。全人代常務委は11月、香港の立法会議員が、「中国が香港に対して主権を行使することを認めない」などとする場合、議員資格を失うと決定。これを受け、香港政府は4人の民主派議員の資格を剥奪しました。
教育に対しては、学生の自ら考える力を養う目的で導入されていた「通識教育科」の形骸化を進めています。香港警察は9月、一部のネットメディア、ブリーランスや学生記者をメディアと認めない方針を発表しました。
ただ、香港市民は自由と民主を求めるたたかいを放棄していません。リンゴ日報によると、勾留された黎氏は「恐れることはない。闘争を続ける」と表明しました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年12月21日付掲載
今年6月の香港国家安全維持法(国安法)の施行。国家分裂やテロ行為はともかく、政権転覆まで弾圧の対象に。
それって、選挙による政権交代を認めないという前近代的感覚。まるで封建社会ですね。
中国が、本国でどんな政治制度をとるかは自由ですが、「一国二制度」でイギリスから返還された香港の政治制度には介入すべきではありません。
昨年、数百万人規模で盛り上がった香港の反政府運動は、今年6月の香港国家安全維持法(国安法)の施行で、強権的に弾圧されました。政権側の弾圧は、香港の自由や民主を求めるデモや集会だけでなく、メディアや教育、議会などあらゆる分野に及んでいます。
中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は6月30日、国安法を全会一致で可決。香港で即日施行されました。
国安法は、①国家分裂②政権転覆③テロ活動④外国勢力と結託して国の安全に危害を加える行為―に対し、最高刑で終身刑の刑罰を科します。行為の有無などの判断は中国当局の意向が反映されることになります。そして容疑者を中国本土で裁判にかけることも可能になりました。
周氏ら民主活動家に実刑判決を言い渡した西九竜裁判所前に集まった支援者=12月2日、香港(ロイター)
国安法は香港の法律の上に君臨することになり、国安法の解釈権は全人代常務委が握ることになります。同法の施行に対し、香港の立法会(議会)は何ら関与できませんでした。
法律の中身も成立過程も、香港の高度な自治を保障し、中国自身が国際社会に公約した「一国二制度」に反するものです。国際社会から厳しい批判が起こりました。
12月7日までに40人が国安法で逮捕されました。その中には、若手民主活動家の周庭氏、香港紙・リンゴ日報の創業者である黎智英(れい・ちえい)氏も含まれています。黎氏は11日に国安法違反で起訴されました。周氏は国安法で起訴されていないものの、昨年6月に違法集会を扇動した罪で禁鋼刑を下されました。
当局は、新型コロナウイルスの感染拡大を口実に、9月に予定されていた立法会選の1年延期を強行しました。全人代常務委は11月、香港の立法会議員が、「中国が香港に対して主権を行使することを認めない」などとする場合、議員資格を失うと決定。これを受け、香港政府は4人の民主派議員の資格を剥奪しました。
教育に対しては、学生の自ら考える力を養う目的で導入されていた「通識教育科」の形骸化を進めています。香港警察は9月、一部のネットメディア、ブリーランスや学生記者をメディアと認めない方針を発表しました。
ただ、香港市民は自由と民主を求めるたたかいを放棄していません。リンゴ日報によると、勾留された黎氏は「恐れることはない。闘争を続ける」と表明しました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年12月21日付掲載
今年6月の香港国家安全維持法(国安法)の施行。国家分裂やテロ行為はともかく、政権転覆まで弾圧の対象に。
それって、選挙による政権交代を認めないという前近代的感覚。まるで封建社会ですね。
中国が、本国でどんな政治制度をとるかは自由ですが、「一国二制度」でイギリスから返還された香港の政治制度には介入すべきではありません。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます