職場のトラブルQ&A⑥ 「バイトに残業代出るわけないだろ」!? 社員と同様に割増賃金の対象
今回は、ブラックバイトの相談を取り上げます。ブラック企業のアルバイト版です。「高すぎる学費」のためにアルバイトをする学生が急増していますが、知識不足や立場の弱さに付け込む形で、残業代未払い、長時間労働、過酷労働、パワハラなどが横行しています。
Q 都内の大学2年生です。先月から飲食店でアルバイトを始めました。出勤は週2日、勤務時間は午後1時から夜7時まで、時給1000円の約束でした。けれども、働き始めると店主から、毎回のように「今日は混んでいるから残ってくれ」などと言われ、閉店時間(夜11時)まで働かされました(10時間労働)。しかし、もらった給料をみると残業代が支払われていませんでした。店主に「残業代はつかないのですか」と聞いたら、「アルバイトに残業代なんかあるわけないだろ」と言われました。これって本当ですか。
A いいえ、そんなことはありません。アルバイトも労働ですから、当然、労働基準法の適用があります。労基法は、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならないとしています(32条)。それを超えて働かせた場合、その超えた時間について、通常賃金を25%割り増しした時間外割増賃金(=残業代)を支払わなければならないこと(37条1項)なども定めています。このケースでは、夜9時以降働いた分は割増賃金の対象になります。
さらに、あなたは夜10時以降も働いています。その部分については、深夜業(夜10時から朝5時までの労働)の割増賃金(通常賃金の25%割り増し)も別に支払われます。(労基法37条4項)あなたの場合、夜10時から11時までの時間は、時間外労働と深夜業が重なっていますので、この部分については50%の割増賃金が支払われることになります。(表)

3種類の割増賃金と割増率
こうした時間外労働や深夜業に対する割増賃金は、法律の定めです。雇用者は、特に取り決めがなくても、働かせた以上は当然、支払い義務を負います。
違反した場合には罰則もあります。(6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金、労基法119条1号)
実際に働いた時間をもとに時間外割増賃金と深夜業割増賃金を計算して、店主に請求してください。
店主が応じない場合は、地域の労働組合に相談するか、お店の所在地を担当する労働基準監督署に申告すればよいと思います(厚労省・全国の労働基準監督署の所在案内)。残業代未払いが確認されれば、監督官が、店主に是正勧告を出してくれます。
残業代の相談や請求をする場合は、証拠が重要です。労働契約書、給料明細書、勤務シフト、タイムカードのコピーなどの証拠を集めておいてください。
実際に働いた時間の証拠としては、タイムカードのほか、入退室記録、メールの送受信記録などが考えられます。手帳や日記に自分でつけた始・終業時刻のメモも証拠になり得ます。
今村幸次郎(弁護士)
「しんぶん赤旗」日曜版 2019年3月17日付掲載
アルバイトでも1日8時間以上働いた場合は割増賃金。深夜や休日働いた場合も割増賃金。
加算されていない場合はシッカリ請求しよう。
今回は、ブラックバイトの相談を取り上げます。ブラック企業のアルバイト版です。「高すぎる学費」のためにアルバイトをする学生が急増していますが、知識不足や立場の弱さに付け込む形で、残業代未払い、長時間労働、過酷労働、パワハラなどが横行しています。
Q 都内の大学2年生です。先月から飲食店でアルバイトを始めました。出勤は週2日、勤務時間は午後1時から夜7時まで、時給1000円の約束でした。けれども、働き始めると店主から、毎回のように「今日は混んでいるから残ってくれ」などと言われ、閉店時間(夜11時)まで働かされました(10時間労働)。しかし、もらった給料をみると残業代が支払われていませんでした。店主に「残業代はつかないのですか」と聞いたら、「アルバイトに残業代なんかあるわけないだろ」と言われました。これって本当ですか。
A いいえ、そんなことはありません。アルバイトも労働ですから、当然、労働基準法の適用があります。労基法は、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならないとしています(32条)。それを超えて働かせた場合、その超えた時間について、通常賃金を25%割り増しした時間外割増賃金(=残業代)を支払わなければならないこと(37条1項)なども定めています。このケースでは、夜9時以降働いた分は割増賃金の対象になります。
さらに、あなたは夜10時以降も働いています。その部分については、深夜業(夜10時から朝5時までの労働)の割増賃金(通常賃金の25%割り増し)も別に支払われます。(労基法37条4項)あなたの場合、夜10時から11時までの時間は、時間外労働と深夜業が重なっていますので、この部分については50%の割増賃金が支払われることになります。(表)

3種類の割増賃金と割増率
種類 | 支払う条件 | 割増率 |
時間外 時間外手当 残業手当 | 法定労働時間(1日8時間・40時間)を超えたとき | 25%以上 |
時間外労働が限度時間(1カ月45時間、1年360時間など)を超えたとき | 25%以上 | |
時間外労働が1カ月60時間を超えた時 ※中小企業は当分の間、適用猶予 | 50%以上 | |
休日 休日手当 | 法定休日(週1日)に勤務させたとき | 35%以上 |
深夜 深夜手当 | 22時から5時までの間に勤務させたとき | 25%以上 |
こうした時間外労働や深夜業に対する割増賃金は、法律の定めです。雇用者は、特に取り決めがなくても、働かせた以上は当然、支払い義務を負います。
違反した場合には罰則もあります。(6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金、労基法119条1号)
実際に働いた時間をもとに時間外割増賃金と深夜業割増賃金を計算して、店主に請求してください。
店主が応じない場合は、地域の労働組合に相談するか、お店の所在地を担当する労働基準監督署に申告すればよいと思います(厚労省・全国の労働基準監督署の所在案内)。残業代未払いが確認されれば、監督官が、店主に是正勧告を出してくれます。
残業代の相談や請求をする場合は、証拠が重要です。労働契約書、給料明細書、勤務シフト、タイムカードのコピーなどの証拠を集めておいてください。
実際に働いた時間の証拠としては、タイムカードのほか、入退室記録、メールの送受信記録などが考えられます。手帳や日記に自分でつけた始・終業時刻のメモも証拠になり得ます。
今村幸次郎(弁護士)
「しんぶん赤旗」日曜版 2019年3月17日付掲載
アルバイトでも1日8時間以上働いた場合は割増賃金。深夜や休日働いた場合も割増賃金。
加算されていない場合はシッカリ請求しよう。
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