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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

職場のトラブルQ&A⑨ 「後任いない」と退職届を受け取らない 無期契約なら通告だけで解約

2019-04-29 14:34:46 | 職場のトラブルQ&A
職場のトラブルQ&A⑨ 「後任いない」と退職届を受け取らない 無期契約なら通告だけで解約
今回は、退職(辞職)をめぐるトラブルを取り上げます。近年、労働者が退職届を提出しようと思っても、使用者がこれを受け取らず辞めさせてもらえないといったトラブルが増えています。しかし憲法は、職業選択の自由(憲法22条)を保障します。労働者の退職は原則として自由です。

 私は、期間の定めのない労働契約により運送業の会社で働いていました。しかし、仕事がきついので転職しようと思って、昨日(3月20日)、4月30日をもって退職するとの退職届を社長に提出しました。すると、社長は、「後任がいないのに辞められては困る」と言って退職届を受け取りませんでした。私は辞めることができないのでしょうか。

 いいえ、あなたは会社を辞めることができます。期間の定めのない労働契約の場合、労働者は、一定の期間を置いて申し入れをすれば、労働契約を解約できることになっています。(民法627条)
会社の就業規則では、退職は30日前までに申し出ることとなっていますので、30日以上の期間を置いて、4月30日をもって退職するとの申し出は、他の事情にかかわらず有効です。
4月30日付で退職することを明記した書面を内容証明郵便で会社(社長)宛に送付するとよいと思います。そうすれば、4月30日をもって、会社を辞めることができます。




使用者(会社)にとって不都合な時期に労働者が退職したため、会社が損害を被ったとして損害賠償を請求したり、損害賠償請求をすると通告したりするような事例もみられます。
しかし労働者には退職の自由があり、また、辞めることで賠償の対象となるような損害が生じるとは考えにくいと思います。
労働者が退職した際に「十分な引き継ぎの期間がなかった」などとして、使用者側が損害賠償を求めたケースで、損害の発生が否定された裁判例もあります。(横浜地裁2017年3月30日判決)
また、ボーナスを払う際に「1年以内に自らの意思で退職した場合は全額返還する」との約束をし、7カ月後に退職した労働者に対して使用者がその返還を求めたケースもありました。
しかし、そのような約束は、労基法上の強制労働の禁止(労基法5条)、賠償予定の禁止(同法16条)に反し、無効とされています。(東京地裁03年3月31日判決)
なお、期間の定めのある労働契約の場合は、労働者は、やむを得ない事情があるときに限り、契約期間中での解約(退職)ができることになっています(民法628条)。例えば、労働者が病気や事故などによって長期間働けない場合、使用者の賃金未払いや労基法違反により働くのが困難な場合などです。
また、1年を超える契約期間を定めた場合、契約期間の初日から1年を経過した日以降は、原則として、いつでも退職できることになっています。(労基法附則137条)
今村幸次郎(弁護士)

「しんぶん赤旗」日曜版 2019年4月7日付掲載


会社にとっては辞めてもらっては困る労働者もいます。しかし、労働者の側からすると、どんな仕事を選ぶかは労働者の権利です。
一般的には1か月前の「退職届け」で辞めることができます。仕事の引継ぎが必要な場合でも何カ月も引き延ばせないように交渉しましょう。

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