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守ろう!地球の未来 気候危機と激甚豪雨③ 上空に巨大な「大気の川」

2020-09-05 07:42:01 | 環境問題・気候変動・地球温暖化について
守ろう!地球の未来 気候危機と激甚豪雨③ 上空に巨大な「大気の川」
名古屋大学教授 坪木和久さんに聞く(上)

台風や豪雨を研究する名古屋大学宇宙地球環境研究所の坪木和久教授は近著『激甚気象はなぜ起こる』で、「温暖化という気候変動は現実に進んでおり、それに伴って気象が激甚化している」と指摘しています。大規模な災害を起こす気象を「激甚気象」と呼び、命を脅かす激甚気象を知ることの大切さを強調します。九州を中心に広域的な大雨をもたらした今年の7月豪雨などについて聞きました。(三木利博)

―今回の「7月豪雨」についてどうみていますか。気象庁の異常気象分析検討会は要因の一つとして、大量の水蒸気が日本付近の上空に流入したことを挙げています。

同じ場所に
坪木 7月上旬に熊本県南部の人吉盆地で大きな災害をもたらした直接の要因は、積乱雲が次つぎに発生する「線状降水帯」が東西約280キロという非常に大規模なもので、それが長時間持続し、同じ場所に停滞したためです。
背景として南シナ海が非常に暖かかった。そのため南シナ海から大量の水蒸気が中国大陸に流れ込み、中国・長江流域では長期間記録的な大雨が続き大洪水が発生しました。
水蒸気の一部は東西に伸びる停滞した梅雨前線に沿って東シナ海へ流れ込んだ。この東シナ海でさらに水蒸気を与えられ、これと日本の南西側から流れ込む水蒸気で、水蒸気の量が増えました。その大量の水蒸気が九州へ流れ込んだ。
九州地方全体に流れ込んだ水蒸気量は水に換算すると、毎秒50万立方メートルから60万立方メートルと推定されます。日本最大の流量を誇る信濃川の1000倍、アマゾン川の2倍から3倍に匹敵します。もちろん水蒸気のすべてが雨となって落ちるわけではないのですが、たとえばその100分の1でも雨になれば豪雨となります。



7月4日の日本域での鉛直積算水蒸気量。赤色が水蒸気の多い部分をしめしています©名古屋大学宇宙地球環境研究所

―災害を起こす豪雨の多くは、多量の水蒸気が流れる「大気の川」によってもたらされる可能性があると指摘していますね。
坪木 今回も大気の川が形成されて、大量の水蒸気が帯状に日本上空に流れ込んだ状況が考えられます。日本の豪雨をもたらす水蒸気はすべて海洋上から、川のように流れ込むのです。
水蒸気は時空間変動が非常に激しく、昨日突然現れたかと思うと明日は消えてしまう。しかし、その間にアマゾン川の流量に匹敵する水蒸気が流れ、結果として大雨となり洪水や土砂崩れが発生する。そういうことが頻繁に起こるのがこの日本です。

―今回の一連の大雨について先の異常気象分析検討会は「地球温暖化による長期的な水蒸気量の増加が降水量を増やした可能性がある」という見解を出しています。

年々増える
坪木 地球温暖化で大気の川がどう変化するのか、十分な観測がされていないのでわからないというのが現状です。ただ一方で極端に強い雨が年々増えています。平均気温が上昇すると大気中の水蒸気量も増えます。そうなると、大気の川に伴って流れ込む水蒸気の量が増えることは十分考えられます。
今後、大雨というものがより激甚化していくと考えて対策をたてていくことが重要だと思います。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年9月2日付掲載


今年7月の豪雨では「線状降水帯」が話題にあがりました。
東西約280キロという非常に大規模なもので、それが長時間持続し、同じ場所に停滞。
九州地方全体に流れ込んだ水蒸気量は水に換算すると、毎秒50万立方メートルから60万立方メートルと推定。日本最大の流量を誇る信濃川の1000倍、アマゾン川の2倍から3倍に匹敵。
まさに、上空に巨大な「大気の川」です。

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