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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

世界経済の構造転換⑤ アジア諸国の共栄こそ

2023-09-07 07:24:10 | 経済・産業・中小企業対策など
世界経済の構造転換⑤ アジア諸国の共栄こそ
群馬大学名誉教授 山田博文さん

世界最大の経済圏に成長したアジア諸国との共存共栄を実現するため、なにはさておき大軍拡を止めることです。日本の21世紀の展望は、軍拡をストップすることでしか開けないようです。
戦前の日本軍によるアジア諸国への帝国主義戦争の負の遺産を、現代の軍拡によって想起させることは、世界最大の経済圏になったアジアで日本が孤立し、排除され、経済が崩壊しかねないリスクを抱えこむことになります。
「台湾有事」をあおり、日本を米国主導で戦争に巻き込む日米軍事同盟は解消する必要があります。日本全土に米軍基地の建設を容認(日米安全保障条約第6条)する国では、他の国は警戒し、日本の国益に沿ったまともな外交は不可能だからです。日本が米国の覇権維持に協力することは、構造転換した世界経済において、日本企業と国民生活の権益を損なうことになります。


対立で生活崩壊
日本の最大の貿易相手国は米国から中国に交代したので、中国との対立は日本経済と国民生活の崩壊につながります。中国から2カ月間8割の輸入が途絶しただけで、部材など1・4兆円が調達できず、生産額で53兆円、GDP(国内総生産)の約1割が消失します(図)。食料輸入が激減するので、私たちは食料不足と物価高で生活が破壊されます。こんな日中対立は、企業も、国民も、誰一人として望まないでしょう。
そもそも日本経済の4・2倍の経済大国・中国と開戦するなど、かつての小国がその3倍もの経済大国・米国に開戦し、敗戦した歴史と同じ過ちを犯すことになるでしょう。しかも日中は引っ越しのできない隣国です。
日本の当面の対外戦略は、27カ国が加盟する欧州連合(EU)にならい、日中韓などでの東アジア連合(EAU)の結成にあるのかもしれません。すでにアジアでは、10カ国による東南アジア諸国連合(ASEAN)が結成され、武力でなく話し合いで多様な問題が処理されています。そこに日中韓の3カ国が加わる地域協力関係(ASEAN+3)も発展してきました。



21世紀の展望も
日本の役割は、アジアで真っ先に経済大国になった成果と戦後の平和国家の実績をもとに、武力でなく話し合いで東アジアをまとめることです。幸い「中日韓協力国際フォーラム2023」で、中国もアジアの平和と繁栄は3カ国の協力・交流にあると主張しています。日本と中韓とは領土間題がありますが、それは国境がある限り不可避なので、話し合いで解決するしかないでしょう。
中国の覇権主義的な海洋進出や北朝鮮の拉致・ミサイル発射など、一朝一夕に解決できない難問もありますが、だからこそ戦後の平和国家日本がアジアにおける平和的な対外関係を創出し、東アジア連合の実現に果たす役割は大きいといえるでしょう。
東アジア連合が結成できたら、その見返りも大きく、アジア諸国とウィンウィンの関係を構築することで、脆弱(ぜいじゃく)化する日本の21世紀の展望が開けるのではないでしょうか。もちろん米国との間で従属的でない対等・平等の関係を築いてゆく外交も不可欠です。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年9月2日付掲載


日中は引っ越しのできない隣国。日本の当面の対外戦略は、27カ国が加盟する欧州連合(EU)にならい、日中韓などでの東アジア連合(EAU)の結成にあるのかもしれません。
東アジア連合が結成できたら、その見返りも大きく、アジア諸国とウィンウィンの関係を構築することで、脆弱(ぜいじゃく)化する日本の21世紀の展望が開けるのでは。

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