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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

粉飾された賃金抑制策⑤ 社会的責任とらせる春闘に

2023-02-26 07:13:36 | 働く権利・賃金・雇用問題について
粉飾された賃金抑制策⑤ 社会的責任とらせる春闘に
日本福祉大学名誉教授 大木一訓さん

ここで問題になるのが、経団連の社会的責任の問題である。筆者の知る限り、労働組合が賃上げ闘争を組織しようとするたびに、経営者団体が意見表明し、それを「報告」にまとめて全国津々浦々の企業経営者のもとに届けて意見統一をはかる、といった事業が行われている国は世界中どこにもない。
わが国の労働法制でも、言論の自由があるとはいえ、使用者の意見表明が組合の自主的な運営や方針決定を損なうような影響をあたえる場合、それは支配介入の不当労働行為とみなされる。直接的な労使関係をもたない経団連ではあるが、「経済界・企業」の代表を自認する以上、広い意味での使用者責任を担っており、その活動が支配介入の違法行為となる危険も少なくないはずである。経団連会館へのデモ隊の増加はそれを裏付けていると見てよいであろう。中小企業経営への介入や政党政治への介入問題もある。われわれは日本の民主主義との関連で、経団連のはたしている役割とその社会的責任について集中的に明らかにする必要がある。

生活状態に触れず
以上、経団連の2023「報告」の検討から浮かび上がってくるのは、経団連が21世紀における大企業の社会的責任について、おどろくほど無自覚だということである。地球環境問題は、経済団体の関わる問題ではないという認識からか、何も出てこない。日本資本主義が直面する死活的困難についてもまったく関心がないかのようである。
女性問題は取り上げているが、「持続的な成長の実現」のために必要なかぎりでのことである。国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の問題は外国人労働者への対応に関連してわずかに顔を出すだけで、21世紀の企業がすべての労働者の人権を守るうえで担っている大きな社会的責任については一言もない。
そして何より気になるのは、賃上げについての「報告」であるにもかかわらず、労働者・住民の生活状態については一言もふれていないことである。「報告」作成に参加した46人の財界人はいったいどんな生活をしているのだろうか。

暮らし守る賃上げ
とまれ。ないものねだりはやめよう。賃上げを求める国民的要求の高まりのもとで、経団連は春闘をたたかう労働者たちに一つの「贈り物」を差し出した。経団連が「賃上げは経済界・企業の社会的責務である」と言明したのである。暮らしを守る賃上げにウソやごまかしは許されない。この言明に社会的責任をとらせる必要がある。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年2月25日付掲載


経団連の2023「報告」の検討から浮かび上がってくるのは、経団連が21世紀における大企業の社会的責任について、おどろくほど無自覚だということ。地球環境問題は、経済団体の関わる問題ではないという認識からか、何も出てこない。日本資本主義が直面する死活的困難についてもまったく関心がないかのよう。
そして何より気になるのは、賃上げについての「報告」であるにもかかわらず、労働者・住民の生活状態については一言もふれていないこと。
経済界・企業は労働者の賃金を上げる責務がある。

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