周体制10年 「強さ」と「ひずみ」 中国共産党大会を前に② 脱貧困宣言 依然厳しい生活の実態
北京で超高層ビルが建ち並ぶビジネス街・国貿から車で東へ15分ほど走った場所に、地方からの出稼ぎ労働者約1万人が暮らす石各荘村があります。レンガ造りの一軒家に数家族で住んでいたり、バラック小屋を建て増ししたり、狭い空間に多くの人が暮らしています。
出稼ぎ収入頼り
今年1月、同村に住む男性が新型コロナ陽性となり、行動履歴が公表されたことから、出稼ぎ労働者の働き方に注目が集まりました。男性は河南省出身で、建築資材の運搬などの仕事を1月1日から14日まで休みなくこなし、しかも労働時間のほとんどが深夜から明け方でした。
中国メディアによると、男性は家賃月700元(約1万4000円)の10平方メートルほどの部屋に住みながら、午前中に4~5時間寝て、午後から日雇いの仕事をする生活を続けています。山東省に妻と次男が暮らし、河南省に住む父親は寝たきり。家族の生活は、月1万元(約20万円)ほどの男性の収入が頼りです。
9月中旬、石各荘村を30分ほど歩き回り、男性の住んでいた家を探し当てました。男性はすでに村内の別の場所に引っ越していました。隣人に番号を教えてもらい電話すると、「あれからずっと北京で仕事をしている。いまも以前と変わらず、建築資材を運び、家族を養っている」と語りました。
出稼ぎ労働者の男性が住んでいた家=北京市石各荘村
達成に疑問の声
中国の国内総生産(GDP)は2010年に日本を超え、昨年には日本の3・5倍以上にまで増大。昨年7月に北京で開かれた中国共産党創立100周年の記念式典で、習近平総書記(国家主席)は「小康(ややゆとりある)社会を全面的に建設し、絶対的貧困問題を歴史的に解決した」と宣言しました。
一方、貧富の格差が拡大し、農村や出稼ぎ労働者の生活は依然として厳しいのが実態です。SNS上には、「脱貧困は本当に達成したのか」などの疑問も出ています。
北京のある政治学者は「国家主導で脱貧困が成果を上げたのは確かだ」としながらも、「どれだけの人の生活が改善したのか、本当に貧困はなくなったのか、調査が必要だ」と注文をつけます。ある弁護士は「社会に不公正はまだまだ多く、法律の助けを必要とする人たちが大勢いる」と語ります。
「小康社会」実現を宣言した習近平指導部が次に掲げるのが、すべての人民が豊かな生活を送るという「共同富裕」の実現です。16日開幕の第20回中国共産党大会でも、共同富裕が議論され、今後の活動の柱の一つになる見込みです。
「共同富裕のためには経済発展が必要だが、経済の下押し圧力が強く、楽観できない。共同富裕をどう具体化するのか、困難は大きい」(前出の政治学者)との指摘もあります。
(北京=小林拓也写真も)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年10月10日付掲載
北京で超高層ビルが建ち並ぶビジネス街・国貿から車で東へ15分ほど走った場所に、地方からの出稼ぎ労働者約1万人が暮らす石各荘村があります。レンガ造りの一軒家に数家族で住んでいたり、バラック小屋を建て増ししたり、狭い空間に多くの人が暮らしている。
北京のある政治学者は「国家主導で脱貧困が成果を上げたのは確かだ」としながらも、「どれだけの人の生活が改善したのか、本当に貧困はなくなったのか、調査が必要だ」と注文。
「共同富裕のためには経済発展が必要だが、経済の下押し圧力が強く、楽観できない。共同富裕をどう具体化するのか、困難は大きい」
北京で超高層ビルが建ち並ぶビジネス街・国貿から車で東へ15分ほど走った場所に、地方からの出稼ぎ労働者約1万人が暮らす石各荘村があります。レンガ造りの一軒家に数家族で住んでいたり、バラック小屋を建て増ししたり、狭い空間に多くの人が暮らしています。
出稼ぎ収入頼り
今年1月、同村に住む男性が新型コロナ陽性となり、行動履歴が公表されたことから、出稼ぎ労働者の働き方に注目が集まりました。男性は河南省出身で、建築資材の運搬などの仕事を1月1日から14日まで休みなくこなし、しかも労働時間のほとんどが深夜から明け方でした。
中国メディアによると、男性は家賃月700元(約1万4000円)の10平方メートルほどの部屋に住みながら、午前中に4~5時間寝て、午後から日雇いの仕事をする生活を続けています。山東省に妻と次男が暮らし、河南省に住む父親は寝たきり。家族の生活は、月1万元(約20万円)ほどの男性の収入が頼りです。
9月中旬、石各荘村を30分ほど歩き回り、男性の住んでいた家を探し当てました。男性はすでに村内の別の場所に引っ越していました。隣人に番号を教えてもらい電話すると、「あれからずっと北京で仕事をしている。いまも以前と変わらず、建築資材を運び、家族を養っている」と語りました。
出稼ぎ労働者の男性が住んでいた家=北京市石各荘村
達成に疑問の声
中国の国内総生産(GDP)は2010年に日本を超え、昨年には日本の3・5倍以上にまで増大。昨年7月に北京で開かれた中国共産党創立100周年の記念式典で、習近平総書記(国家主席)は「小康(ややゆとりある)社会を全面的に建設し、絶対的貧困問題を歴史的に解決した」と宣言しました。
一方、貧富の格差が拡大し、農村や出稼ぎ労働者の生活は依然として厳しいのが実態です。SNS上には、「脱貧困は本当に達成したのか」などの疑問も出ています。
北京のある政治学者は「国家主導で脱貧困が成果を上げたのは確かだ」としながらも、「どれだけの人の生活が改善したのか、本当に貧困はなくなったのか、調査が必要だ」と注文をつけます。ある弁護士は「社会に不公正はまだまだ多く、法律の助けを必要とする人たちが大勢いる」と語ります。
「小康社会」実現を宣言した習近平指導部が次に掲げるのが、すべての人民が豊かな生活を送るという「共同富裕」の実現です。16日開幕の第20回中国共産党大会でも、共同富裕が議論され、今後の活動の柱の一つになる見込みです。
「共同富裕のためには経済発展が必要だが、経済の下押し圧力が強く、楽観できない。共同富裕をどう具体化するのか、困難は大きい」(前出の政治学者)との指摘もあります。
(北京=小林拓也写真も)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年10月10日付掲載
北京で超高層ビルが建ち並ぶビジネス街・国貿から車で東へ15分ほど走った場所に、地方からの出稼ぎ労働者約1万人が暮らす石各荘村があります。レンガ造りの一軒家に数家族で住んでいたり、バラック小屋を建て増ししたり、狭い空間に多くの人が暮らしている。
北京のある政治学者は「国家主導で脱貧困が成果を上げたのは確かだ」としながらも、「どれだけの人の生活が改善したのか、本当に貧困はなくなったのか、調査が必要だ」と注文。
「共同富裕のためには経済発展が必要だが、経済の下押し圧力が強く、楽観できない。共同富裕をどう具体化するのか、困難は大きい」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます