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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

どうする危険な鎖場 設置者不明で放置も 整備着手までが難関

2024-05-15 07:16:04 | 赤旗記事特集
どうする危険な鎖場 設置者不明で放置も 整備着手までが難関
登山で険しい岩場を登るときにお世話になるのが鎖場です。ほとんどの登山者は鎖の強度など気にしませんが、設置者が分からず長年放置されてきたところもあります。(青山俊明)

秩父多摩甲斐国立公園にある乾徳山(けんとくさん)=2031メートル、山梨県山梨市=は、富士山の展望と山頂付近に連なる岩場が人気の山です。
休日となると多くの登山者が岩場に設置された鎖に体を預けて登っていきます。
登山道の管理者は山梨市ですが、鎖は誰がいつ付けたのか、明確な資料が残っておらず、長期間放置されてきました。鎖を固定している支点が腐食・変形していたり、強度の足りない金具が使われていたり、鎖自体も摩耗していたりと大変危険な状態でした。そこで2021年、同公園事業のモデルコースとして整備が行われました。



妙高山で新しい鎖を設置する井上大助さん=2023年10月(本人提供)


乾徳山の鎖場を登る登山者=4月20日、山梨県山梨市

専門家の仕事
作業を担ったのは、かつてフリークライミング協会の業務で全国のさまざまな岩場で支点の打ち換えなどの整備を行ってきた井上大助さん。十分な強度のある支点に交換するとともに登山者が登りやすい位置に鎖がくるよう設置し直しました。
施工には、岩の質を見定めて適切な支点を選んで設置する技術や登路を読む目が求められます。「鎖場は、それに頼る登山者の命が懸かる。整備は専門家の仕事」だと井上さんは話します。
日本百名山で年間1万人以上が訪れる妙高山(2454メートル、新潟県妙高市)は頂上直下の鎖場も危険な状態でした。管理者の妙高市や地元の団体と協刀して22~23年にかけて整備しました。
鎖は一見しっかりしているようでしたが、「火山でもろい岩だったので支点はゆるゆる。3本中1本は手で抜けた」と井上さん。26センチのステンレス製支点を特殊な接着剤で固定しました。鎖は岩角などと擦れる屈曲点で摩耗しやすいため、所々に中間支点を入れて調整しました。妙高市の担当者は「昨年12月に点検して問題なかった。今後も定期的に管理していく」と話します。



すり減っていた乾徳山の古い鎖=2021年9月(井上大助さん提供)

管理者が曖味
環境省の自然公園指導員を務める井上さんは各地の岩場を回って気になる点を地元自治体に指摘しています。しかし、受け止めには温度差があると言います。「熱心なところもあるけれど、そうでないところも多く、整備は後回しにされがちだ」と指摘します。市町村の合併で管理者が曖昧になっているケースも、しばしば起きています。整備に着手できるまで非常に手間がかかるのです。
国立公園内でも管理者不在の登山道は多い。自治体が二の足を踏んでいるからです。「自治体が管理者になりたがらないのは、遊歩道のように整備しようとすると費用がかかることと、登山道で事故が起きた場合の責任への不安があるから」と登山に詳しい弁護士の溝手康史さんは説明します。
自然公園法では登山道も遊歩道も同じ「歩道」で区別はありません。遊歩道で事故が起きると自治体の管理責任が間われることが多い。しかし、登山道は登山者の自已責任が原則。裁判所も区別しています。
登山道は登山などの野外活動を支える基盤です。溝手さんは登山道を適切に維持していくために「まず、管理者を定める。そして遊歩道と区別して管理するべきだ」と指摘します。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年5月4日付掲載


登山道の鎖場の整備。施工には、岩の質を見定めて適切な支点を選んで設置する技術や登路を読む目が求められます。「鎖場は、それに頼る登山者の命が懸かる。整備は専門家の仕事」だと井上さんは話します。
国立公園内でも管理者不在の登山道は多い。自治体が二の足を踏んでいるから。「自治体が管理者になりたがらないのは、遊歩道のように整備しようとすると費用がかかることと、登山道で事故が起きた場合の責任への不安があるから」と登山に詳しい弁護士の溝手康史さんは説明。
登山道は登山などの野外活動を支える基盤です。溝手さんは登山道を適切に維持していくために「まず、管理者を定める。そして遊歩道と区別して管理するべきだ」と指摘。

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