きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

太陽と風と洗濯物と③ 誰にでも日常がある

2012-02-05 21:53:31 | 写真撮影(県外)
太陽と風と洗濯物と③ 誰にでも日常がある

 チャイムが鳴った。
 ドアを開けるとどこか見覚えのある男性が突然道路に土下座をした。な、何が起こったの?記憶が総動員してHさんにたどり着く。Hさんは高校の写真部の先輩で、卒業して間もないころOB展を母校でやるということになり、私は写真だけ送り、彼が送り返してくれることになっていた。それから30年近く時が流れた。
 「すいませんでした!」。Hさんは引っ越しすることになり台紙に貼られた写真の束を菓子折りとともに返しにきたということだった。そのまま帰ろうとするのでとにかくコーヒーだけでもと家に招き入れる。Hさんは会社を辞めて沖縄本島に移住すると話しはじめた。
 「元気なんだよね?」。ちょっと気になって尋ねてみると、精神安定剤を長く飲んでいると言う。「あのくそオヤジにはおふくろも俺もさんざん苦労させられた」。母親が死んでからは父親との暮らしで、3年前に父親も亡くなったのだという。貯金と退職金で1~2年ゆっくりしてから動き出そうと思っていると。
 私は3月11日以降撮っている日常の写真を見せた。丁寧に写真をめくる顔は、いつも部室でみていた顔だった。




 他の部員の消息を聞きながら駅まで歩いた。父親の葬式にみんなが来てくれて再び付き合いが始まったのだという。「最後にお父さんがプレゼントしてくれたんだね」「そうなのかもね」
 別れ際に写真を撮らせてもらう。誰にでもその人の日常が流れているという当たり前のことを3月11日以降改めて感じるようになっていた。目の前には駅まで1分のうたい文句で建設中の超高層ツインタワーが何もなかったかのように空へ空へと伸びていた。
(写真家 落合由利子)(金曜掲載)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年1月20日付掲載



 大学時代の懐かしい友人と再会できてよかったですね。僕も、大学時代に1年間だけ写真クラブに入っていたので、その気持ちはわかる気がします。
 沖縄に行ったからと言って永遠に会えなくなるわけでもないけれど・・・。一つの区切りとして写真を届けに来てくれたんでしょうね。
 でも、さすがに写真家ですね。別れ際に写真を撮るなんてネ・・・


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