北陸新幹線の延伸 水・暮らし・文化を破壊 京都市長選 24.2.4 福山候補「福祉に回せ」
「京都を南北につらぬく巨大地下トンネルを掘れば井戸水が枯渇する危険に」「市の財政負担は数千億円にも」―。北陸新幹線の延伸が暮らしと文化を壊してしまうと住民が声を上げ、京都市長選(来年1月21日告示、2月4日投票)の大きな争点の一つになっています。
(速水大地)
来年3月に金沢―敦賀(福井県)間が開業する北陸新幹線。計画では、2046年には敦賀から小浜を通り、京都を縦断して大阪まで延伸。ルートの約8割がトンネルです。(図)
地下40メートル以深のトンネルを掘ることで懸念されるのが地下水の枯渇です。京都盆地の地下には琵琶湖に匹敵する巨大な水がめがあり、豊かな地下水が京都を彩る京料理、お茶、湯葉や豆腐、和菓子、酒といった伝統産業や暮らしを支えています。
すでに工事が進んでいる敦賀市では農業用水の水枯れなどの被害が起き、京都市内でも鉄道の地下工事で井戸水が枯れた過去もあります。大深度トンネルを掘って地下の湖に穴をあけてしまった時に何が起きるのか「掘ってみないとわからへん」というのが土木の専門家の見解です。
北陸新幹線延伸 敦賀―新大阪延伸ルート案
残土どうする
大量の残土も問題です。試算では、全体で約880万立方メートルと、10トンダンプ車160万台以上に相当。西京極球場に置けば、高さ640メートルで大文字山(標高465層メートル)を超える量ですが、処分方法は決まっていません。
工事が始まれば、地域によっては10年を超える長期間、大量のダンプ車が往来し、周辺の自然や住環境が激変。気候変動で災害が大規模化する今、残土の置き場によっては、21年に静岡県熱海市で起きたような大規模土砂災害の危険性も指摘されています。
ルート候補地の南丹、京北地域は原生的な自然や希少動物、里山の暮らしが残る土地。工事は自然や生態系を壊すだけでなく、丹波山地の掘削で地下に眠っていた有毒なヒ素が川や田畑に流入すれば、里山の暮らし、農林業などのなりわいが破壊されます。
延伸反対パレードで市民と談笑する福山氏(中央奥)=11月23日、京都市役所周辺
負担額も不明
京都市がいくら負担するかも決まっていません。総工費2・1兆円(2016年試算)の仮に10%なら、2100億円の負担。物価高などで北海道新幹線の札幌延伸や北陸新幹線の金沢-敦賀間の工費が約4割も増えており、今回の延伸に当てはめれば総工費は約4兆円に。当初の「ぎりぎり黒字」といわれた時とは状況が大きく変わって、着工自体も厳しくなり「北陸へはサンダーバード、大阪へは在来線も新幹線もあり、もう一本、新幹線は必要ない」との声は強まっています。
京都府・京都市は、日本共産党を除く「オール与党」推薦の首長のもとで延伸計画を進め、今回、新たな候補を推薦して対決のポーズをとる維新の会も、大阪のカジノ計画を見据えて延伸を推進しています。
「つなぐ京都2024」の福山和人候補は「京都市はこの間“財政破綻するかも”と言って民間保育園の補助金カット、学童保育料や敬老乗軍証の値上げなど、50億円以上も市民の福祉を削ったが、新幹線は数千億円の借金を残す危険がある」と批判。北陸新幹線延伸の現行計画に白紙撤回を含む抜本的な見直しを求め、削減された福祉施策の復活を公約に掲げています。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年12月13日付掲載
来年3月に金沢―敦賀(福井県)間が開業する北陸新幹線。計画では、2046年には敦賀から小浜を通り、京都を縦断して大阪まで延伸。ルートの約8割がトンネル。
地下40メートル以深のトンネルを掘ることで懸念されるのが地下水の枯渇。ルート候補地の南丹、京北地域は原生的な自然や希少動物、里山の暮らしが残る土地。
採算問題に合わせて、北陸へはサンダーバード、大阪へは在来線も新幹線もあり、もう一本、新幹線は必要ないとの声も。
来年1月の京都市長選挙の争点の一つに浮上。
「京都を南北につらぬく巨大地下トンネルを掘れば井戸水が枯渇する危険に」「市の財政負担は数千億円にも」―。北陸新幹線の延伸が暮らしと文化を壊してしまうと住民が声を上げ、京都市長選(来年1月21日告示、2月4日投票)の大きな争点の一つになっています。
(速水大地)
来年3月に金沢―敦賀(福井県)間が開業する北陸新幹線。計画では、2046年には敦賀から小浜を通り、京都を縦断して大阪まで延伸。ルートの約8割がトンネルです。(図)
地下40メートル以深のトンネルを掘ることで懸念されるのが地下水の枯渇です。京都盆地の地下には琵琶湖に匹敵する巨大な水がめがあり、豊かな地下水が京都を彩る京料理、お茶、湯葉や豆腐、和菓子、酒といった伝統産業や暮らしを支えています。
すでに工事が進んでいる敦賀市では農業用水の水枯れなどの被害が起き、京都市内でも鉄道の地下工事で井戸水が枯れた過去もあります。大深度トンネルを掘って地下の湖に穴をあけてしまった時に何が起きるのか「掘ってみないとわからへん」というのが土木の専門家の見解です。
北陸新幹線延伸 敦賀―新大阪延伸ルート案
残土どうする
大量の残土も問題です。試算では、全体で約880万立方メートルと、10トンダンプ車160万台以上に相当。西京極球場に置けば、高さ640メートルで大文字山(標高465層メートル)を超える量ですが、処分方法は決まっていません。
工事が始まれば、地域によっては10年を超える長期間、大量のダンプ車が往来し、周辺の自然や住環境が激変。気候変動で災害が大規模化する今、残土の置き場によっては、21年に静岡県熱海市で起きたような大規模土砂災害の危険性も指摘されています。
ルート候補地の南丹、京北地域は原生的な自然や希少動物、里山の暮らしが残る土地。工事は自然や生態系を壊すだけでなく、丹波山地の掘削で地下に眠っていた有毒なヒ素が川や田畑に流入すれば、里山の暮らし、農林業などのなりわいが破壊されます。
延伸反対パレードで市民と談笑する福山氏(中央奥)=11月23日、京都市役所周辺
負担額も不明
京都市がいくら負担するかも決まっていません。総工費2・1兆円(2016年試算)の仮に10%なら、2100億円の負担。物価高などで北海道新幹線の札幌延伸や北陸新幹線の金沢-敦賀間の工費が約4割も増えており、今回の延伸に当てはめれば総工費は約4兆円に。当初の「ぎりぎり黒字」といわれた時とは状況が大きく変わって、着工自体も厳しくなり「北陸へはサンダーバード、大阪へは在来線も新幹線もあり、もう一本、新幹線は必要ない」との声は強まっています。
京都府・京都市は、日本共産党を除く「オール与党」推薦の首長のもとで延伸計画を進め、今回、新たな候補を推薦して対決のポーズをとる維新の会も、大阪のカジノ計画を見据えて延伸を推進しています。
「つなぐ京都2024」の福山和人候補は「京都市はこの間“財政破綻するかも”と言って民間保育園の補助金カット、学童保育料や敬老乗軍証の値上げなど、50億円以上も市民の福祉を削ったが、新幹線は数千億円の借金を残す危険がある」と批判。北陸新幹線延伸の現行計画に白紙撤回を含む抜本的な見直しを求め、削減された福祉施策の復活を公約に掲げています。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年12月13日付掲載
来年3月に金沢―敦賀(福井県)間が開業する北陸新幹線。計画では、2046年には敦賀から小浜を通り、京都を縦断して大阪まで延伸。ルートの約8割がトンネル。
地下40メートル以深のトンネルを掘ることで懸念されるのが地下水の枯渇。ルート候補地の南丹、京北地域は原生的な自然や希少動物、里山の暮らしが残る土地。
採算問題に合わせて、北陸へはサンダーバード、大阪へは在来線も新幹線もあり、もう一本、新幹線は必要ないとの声も。
来年1月の京都市長選挙の争点の一つに浮上。
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