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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

米の異常事態なぜ(上) 安定供給の責任放棄

2024-10-08 04:55:22 | 政治・社会問題について
米の異常事態なぜ(上) 安定供給の責任放棄

スーパーから米が消え、米が買えない―。全国に広がった主食・米をめぐる異常事態。なぜ起きたのか、繰り返さないためにはどうすればいいのか、考えます。

日本共産党農林・漁民局次長 橋本正一さん

農林水産省の発表では6月末の米の民間在庫が過去最低になり品薄で業者間の取引価格は前年の倍近くに高騰、生活苦が広がるなかで買いたくても買えない人も増えました。
日本共産党国会議員団は8月23日、備蓄米の放出など緊急対策を政府に申し入れ、消費者や流通業界などからも同様の声が相次ぎました。ところが農水省は「新米が出回れば品薄は解消される」の一点張りで何らの対策もとらない無責任な対応に終始しました。それが混乱を長引かせることにもなったのです。
農水省は要因として昨年の猛暑による供給減、訪日外国人の増加などによる需要増などを挙げますが、最大の責任は政府の米政策にこそあります。

削減を押し付け
政府は米の生産や安定供給への責任を投げ捨て、市場原理に全面的にゆだねたうえ、需要が毎年減少することを前提に生産量をぎりぎりに抑え、農家に米生産の削減を押し付けてきました。
1年に1度しか収穫できない米は、気象や経済情勢の変化で需要と供給にギャップが生まれるため、何もしなければ価格の乱高下、流通の不安定化は避けられません。
本来、それを緩和・回避するのが政治の役割です。しかし、自民党政府は、需給や価格はあくまで市場にゆだねるべきだとし、約90万トン保有している政府備蓄米の活用は視野にありません。その放出は大凶作などの非常時に限り、豊作時の買い増し、不足時の放出という対応は一貫して否定してきたのです。
2021年産がコロナ禍で需要が減少し、在庫が増え、米価が大暴落したときも備蓄米の買い増しによる米価の下支えを拒否しました。唯一の「対策」としたのが過剰だからと20万トン以上の減産を22年、23年と2年続けて押しつけることでした。その結果、流通在庫が減少したところに昨年来のいくつかの要因が重なり今回の米不足につながったのです。
わずかの需給変動で米流通が混乱し、米価が乱高下する現状は主食・米を全面的に市場にゆだねることの危険性を示しています。



実った稲=山口県下関市

来年も混乱必至
政府の姿勢では来年も混乱が起きかねません。農水省が7月末に公表した来年度の需給見通しでは、来年の需要量が29万ゾも減ると予想していますが、今年の需要量が前年比で20万ゾ増えたのになぜいきなり減少するのか合理的な理由は示せません。消費が少しでも上振れすれば今年以上の米不足・流通混乱は必至です。
米の需給と価格の安定に政府が責任を持ち、米不足が明確になった場合には備蓄米を緊急放出するなど運用を柔軟にすべきです。
そして農家の販売価格が低下しないようしっかり手当てしつつ、多少の不作や需要増でも混乱しないようゆとりある需給見通しで米の増産や備蓄増を確保すべきです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月3日付掲載


農水省は要因として昨年の猛暑による供給減、訪日外国人の増加などによる需要増などを挙げますが、最大の責任は政府の米政策にこそあります。
1年に1度しか収穫できない米は、気象や経済情勢の変化で需要と供給にギャップが生まれるため、何もしなければ価格の乱高下、流通の不安定化は避けられません。
本来、それを緩和・回避するのが政治の役割。しかし、自民党政府は、需給や価格はあくまで市場にゆだねるべきだとし、約90万トン保有している政府備蓄米の活用は視野にありません。その放出は大凶作などの非常時に限り、豊作時の買い増し、不足時の放出という対応は一貫して否定してきた。

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