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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

シリーズ 原発の深層  第一部・原発マネー⑥&⑦ 祭りや三味線大会&受け入れの見かえり

2011-09-09 22:56:33 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
シリーズ 原発の深層  第一部・原発マネー⑥&⑦ 祭りや三味線大会&受け入れの見かえり

祭りや三味線大会にも

 政府や電力会社とともに、原子力発電を推進してきた団体に、電気事業連合会(電事連)があります。電事連は東京電力など電力会社10社によってつくられた業界団体です。
 「広告宣伝費は、過去5カ年平均でおよそ20億円ぐらい」。7月13日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、八木誠・電事連会長(関西電力社長)はこう答弁しました。しかし、「電事連が動かすのは20億円どころではなく5000億円以上だ」と指摘する関係者もいます。




20年間120億円
 電事連が前面に立って原発を推進しているのが青森県です。「電事連マネー」は、津軽三味線大会やリンゴ酒普及、観光マップ作成など、県内の民間や自治体のさまざまな活動に注ぎ込まれています。
 青森市内で町内会長を務める玉熊靖司さん(78)は2009年、自らが館長を務める児童館の裏手の木の上に木製の小屋をつくりました。
 「今の子どもたちは体を使った遊びがなかなかできません。そこで子どもたちと秘密基地をつくりました」
 製作費用250万円のうち190万円は、「むつ小川原地域・産業振興財団」(むつ財団)が助成しました。
 1989年に青森県によって設立されたむつ財団は、電事連からの寄付が財源。設立時の基金100億円のうち半分の50億円を電事連が拠出しました。さらに、電事連は94年、特別措置として24億7000万円の寄付を行いました。特別措置は98年までの期間限定のはずでしたが、延長が繰り返され、2013年までの特別措置の累計は120億円に膨らみました。



五所川原の立佞武多でも目立つ22メートルの山車と助成したむつ財団の看板

“理解の促進”
 「むつ財団の支援事業は『使い勝手がいい』と好評です。人件費と借金返済以外なら何でも使えます」。むつ財団の職員はこう語ります。
 五所川原市で毎年8月に行われる立佞武多(たちねぶた)にもむつ財団の助成金が使われています。
 立佞武多は、山車(だし)の高さが特徴。多くが15メートル程度、最大で20メートルを超える山車が巡行する姿は圧巻です。
 今年は19台の山車が“出陣”し、146万人の観光客を集めました。ひときわ大きな22メートルの山車3台には、「原子燃料サイクル事業推進特別対策事業/むつ小川原地域・産業振興財団」の看板が目立ちます。製作にむつ財団から4000万円の助成が出ています。
 青森県庁関係者は「むつ財団の支援事業を通じて、(原発事業への)理解促進につながっているのではないか」と話しています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年9月7日付掲載




受け入れの見返り

 青森県発行のパンフレット『豊かで活力ある地域づくりをめざして』には「電気事業連合会の仲介による誘致企業」として、「原子燃料サイクル施設の立地を契機に、県内に15社15事業所が操業をしており、約870人の雇用が図られています」とあります。機械部品関係の企業が中心です。
 電事連が青森県を「特別扱い」するのは、「原子燃料サイクル(核燃サイクル)施設」を受け入れた見返りです。
 核燃サイクルは、一度利用した燃料を再処理して、「燃え残り」のウランとプルトニウムを取り出し、燃料として「有効利用」するもの。六ケ所村に再処理工場と関連施設が建設中です。

“原発の命運”
 核燃サイクルがうまくいかなければ、「有効利用」どころか、全国の原発で使用済み燃料貯蔵庫があふれ、操業が続けられなくなります。核燃サイクルが原発の命運を左右します。
 1984年に電事連は青森県に核燃サイクル施設の立地協力を要請し、県は翌年受諾。同県は東通村と大間町に原子力発電、むつ市には使用済み核燃料の中間貯蔵施設があります。
 原発などを立地する市町村と周辺自治体には電源3法に基づく交付金が支給されます。青森県では15市町村が原発の交付金を受けています。
 核燃サイクルをめぐっては、立地・周辺地域だけでなく全県で反対運動がおこりました。反対運動を抑え込むかのように交付金を受けられない地域にもお金を入れるために「むつ小川原地域・産業振興財団」(むつ財団)が設立されました。



電事連マネーで整備された、青森県つがる市立瑞穂小学校の音楽室の備品
(右)瑞穂小学校の壁面にはられたパネル

学校整備にも
 つがる市は05年度に市立瑞穂小学校の備品整備事業を申請。各教室の机・椅子から給食室の調理道具まで3500万円を受けました。同校には「この学校の備品は、原子燃料サイクル事業推進特別対策事業で整備されています」とのプレートが掲げられています。
 財団からの助成金は、自治体の予算編成に組み込まれています。ある自治体関係者は、「福島での原発事故があって、青森の原子力関連施設をあらためて怖く感じた。多額の寄付を考えると『原発脱却』をいうのはためらわれる」と漏らします。
 教育や地域振興など反対しづらいところに多額の寄付を行い、「原発ノー」の声を封じ込める―「電事連のやり方はえげつない」。住民の間から批判の声が上がっています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年9月8日付掲載



青森県の郷土の祭り「ねぶた」にも、原発マネーが投入されているんですね。
神戸の「こうべ海上花火大会」でも地元の企業や商店街の協賛、特に大企業の協賛で打ち上げられています。それはそれで、大企業の社会貢献って意味で必要な事ですが・・・。
原発の場合はまた違った意味合いがあります。「原発に反対する世論を抑え込む」って意味があるんですね。
さらに、教育や地域振興など反対しづらいところに寄付するなんて、「えげつない」そのものですね。


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