新型コロナワクチンQ&A② 接種の心構えは 夏の帰省は
ワクチンにかかわる不安や疑問について日本ワクチン学会理事の森内浩幸さん(長崎大学教授)に聞く連載の下です
長崎大学教授・森内浩幸さん
Q8 10代の接種は?
重症化のリスクは低く、健康な子どもの接種は最後でよいと思います。学校での集団接種は、同調圧力に伴うストレスによって迷走神経反射が起こりやすいので避けた方がいいでしょう。
個別接種でかかりつけ医と相談しながら行う方がよいと思います。
基礎疾患がある子どもは、主治医のところで早めに接種してほしいと思います。例外は特別支援学校などで、教員と保護者、主治医で子どもの健康状態についての情報が共有されていれば集団接種の方が効率的だと思います。
【迷走神経反射】
強いストレスを感じたとき、通常とは逆に、心臓の働きがゆっくりそして弱くなり、失神などが起きることです。若い人ほど起きやすく、ワクチン接種への緊張や恐怖が強いと起きることがあります。
深酒は避ける
Q9 前日、当日の心構えは?
普段通りの生活で大丈夫です。ワクチンの効果を高めるには十分な睡眠、栄養をとり、適度に運動をすることです。熱中症を起こしやすい季節でもありますし、外を歩く場合、飲み物を持っていくとよいです。低血糖状態では迷走神経反射が出やすいため、朝食をとり、小腹がすいたときに食べられるものを持っていくとよいでしょう。
時間がたってから起きるアレルギー反応が心配な人は、接種後4時間ぐらいは誰かと一緒にいてください。適度な運動やコップ一杯ぐらいの飲酒、入浴は問題ありませんが、体調の変化に気づきにくくなるので、フルマラソンなどの激しい運動や深酒は避けてください。
時間がかかる集団免疫 「3密」避けマスクを
Q10 集団免疫はいつできる?
対策をした場合に1人の感染者が何人に広げるかを示す実効再生産数(Rt)が、1未満になると感染者が減ります。
何も対策しない状態で1人から何人に感染が広がるかを示す基本再生産数(R0)はイギリスで確認されたアルファ株では3と言われています。感染を防ぐ効果が100%のワクチンであれば接種率が67%を超えるとRtが1未満になり、感染者が減ります。実際にはワクチンで感染を防ぐ効果は85%くらいなので、接種率は80%以上必要だと思います。
インドで確認されたデルタ株のR0は5近くだと言われています。デルタ株に対しては、感染防御に85%有効なワクチンがあったとしても、子どもを含めて100%近くが接種しないとRtは1未満になりません。
デルタ株はワクチンの感染防御効果が下がるといわれています。ワクチンだけで集団免疫を達成するには時間がかかるため、「3密」を避けたり、一定の条件でマスクをするなどの対策は残ると思います。
Q11 夏の帰省の対策は?
自分だけでなく、会いに行く相手や地域の流行状況によって対策は違います。
ワクチンを2回接種し、数週間経過した人同士であれば、マスクを外していいと思います。
ウイルスの流行地域でワクチンを接種した人が、流行していない地域で接種していない人や接種しているかわからない人に会う場合、接種した人が無症状で感染していて、接種していない人にうつす可能性があります。この場合、マスクなどの対策が必要になります。
Q12 いつ子どものマスクを外せる?
子どもたちが接するおとなのワクチン接種が済めば、子どもが重症化することもあるインフルエンザやRSウイルス(急性呼吸器感染症の原因ウイルス)対策以上のことをする必要はなく、マスクも外せます。
Q13 1回感染した人も接種は2回必要?
感染した人の血液の中にある抗体の量は1回接種した人と同じぐらいです。感染した人が1回接種すれば、2回接種した人と過不足ありません。それ以上接種してもさらに抗体の量が上がることはありません。
Q14 今後も接種する必要はある?
呼吸器系の感染症に対して、新型コロナのワクチンほど有効なワクチンはこれまでありませんでした。しかし効果がずっと続く保証はありません。新型コロナウイルスが世界中で制御されるまで接種を続けることが予想されます。インフルエンザのように、毎年接種することになるかもしれません。(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年7月13日付掲載
新型コロナのワクチンの集団免疫が獲得されるのは一定の期間がかかりそう。
しばらくは、マスクや「3密」を避けるなどの、一般的な感染対策が必要です。
感染拡大が進む都市部から田舎への帰省。お互いにワクチン接種してから数週間経過していれば心配なしですね。
ワクチンにかかわる不安や疑問について日本ワクチン学会理事の森内浩幸さん(長崎大学教授)に聞く連載の下です
長崎大学教授・森内浩幸さん
Q8 10代の接種は?
重症化のリスクは低く、健康な子どもの接種は最後でよいと思います。学校での集団接種は、同調圧力に伴うストレスによって迷走神経反射が起こりやすいので避けた方がいいでしょう。
個別接種でかかりつけ医と相談しながら行う方がよいと思います。
基礎疾患がある子どもは、主治医のところで早めに接種してほしいと思います。例外は特別支援学校などで、教員と保護者、主治医で子どもの健康状態についての情報が共有されていれば集団接種の方が効率的だと思います。
【迷走神経反射】
強いストレスを感じたとき、通常とは逆に、心臓の働きがゆっくりそして弱くなり、失神などが起きることです。若い人ほど起きやすく、ワクチン接種への緊張や恐怖が強いと起きることがあります。
深酒は避ける
Q9 前日、当日の心構えは?
普段通りの生活で大丈夫です。ワクチンの効果を高めるには十分な睡眠、栄養をとり、適度に運動をすることです。熱中症を起こしやすい季節でもありますし、外を歩く場合、飲み物を持っていくとよいです。低血糖状態では迷走神経反射が出やすいため、朝食をとり、小腹がすいたときに食べられるものを持っていくとよいでしょう。
時間がたってから起きるアレルギー反応が心配な人は、接種後4時間ぐらいは誰かと一緒にいてください。適度な運動やコップ一杯ぐらいの飲酒、入浴は問題ありませんが、体調の変化に気づきにくくなるので、フルマラソンなどの激しい運動や深酒は避けてください。
時間がかかる集団免疫 「3密」避けマスクを
Q10 集団免疫はいつできる?
対策をした場合に1人の感染者が何人に広げるかを示す実効再生産数(Rt)が、1未満になると感染者が減ります。
何も対策しない状態で1人から何人に感染が広がるかを示す基本再生産数(R0)はイギリスで確認されたアルファ株では3と言われています。感染を防ぐ効果が100%のワクチンであれば接種率が67%を超えるとRtが1未満になり、感染者が減ります。実際にはワクチンで感染を防ぐ効果は85%くらいなので、接種率は80%以上必要だと思います。
インドで確認されたデルタ株のR0は5近くだと言われています。デルタ株に対しては、感染防御に85%有効なワクチンがあったとしても、子どもを含めて100%近くが接種しないとRtは1未満になりません。
デルタ株はワクチンの感染防御効果が下がるといわれています。ワクチンだけで集団免疫を達成するには時間がかかるため、「3密」を避けたり、一定の条件でマスクをするなどの対策は残ると思います。
Q11 夏の帰省の対策は?
自分だけでなく、会いに行く相手や地域の流行状況によって対策は違います。
ワクチンを2回接種し、数週間経過した人同士であれば、マスクを外していいと思います。
ウイルスの流行地域でワクチンを接種した人が、流行していない地域で接種していない人や接種しているかわからない人に会う場合、接種した人が無症状で感染していて、接種していない人にうつす可能性があります。この場合、マスクなどの対策が必要になります。
Q12 いつ子どものマスクを外せる?
子どもたちが接するおとなのワクチン接種が済めば、子どもが重症化することもあるインフルエンザやRSウイルス(急性呼吸器感染症の原因ウイルス)対策以上のことをする必要はなく、マスクも外せます。
Q13 1回感染した人も接種は2回必要?
感染した人の血液の中にある抗体の量は1回接種した人と同じぐらいです。感染した人が1回接種すれば、2回接種した人と過不足ありません。それ以上接種してもさらに抗体の量が上がることはありません。
Q14 今後も接種する必要はある?
呼吸器系の感染症に対して、新型コロナのワクチンほど有効なワクチンはこれまでありませんでした。しかし効果がずっと続く保証はありません。新型コロナウイルスが世界中で制御されるまで接種を続けることが予想されます。インフルエンザのように、毎年接種することになるかもしれません。(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年7月13日付掲載
新型コロナのワクチンの集団免疫が獲得されるのは一定の期間がかかりそう。
しばらくは、マスクや「3密」を避けるなどの、一般的な感染対策が必要です。
感染拡大が進む都市部から田舎への帰省。お互いにワクチン接種してから数週間経過していれば心配なしですね。
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