岸田政権 コロナ療養期間短縮 科学軽視の乱暴な決定
岸田自公政権は「ウイズコロナ」への移行策として新型コロナ感染症の療養期間短縮を7日から実施しました。有症状は従来の10日間を7日間に、無症状は検査での陰性確認を条件に7日間を5日間としました。これに医療現場から懸念の声が上がっています。全日本民主医療機関獲耳の増田剛会長に聞きました。(内藤真己子)
全日本民主医療機関連合会 増田剛会長に聞く
国民生活を守るためにワクチン接種や感染対策を進めながら経済活動を回すことは大事です。しかし今回の療養期間短縮は決め方が乱暴で、科学を軽視しています。
全日本民主医療機関連合会の増田剛会長
専門家は警告
政府は、発症して8日目(7日間待機後)に約85%の人が感染力のあるウイルスを排出していないなどとする国立感染症研究所の解析を短縮の根拠としています。岸田首相は、短縮は「政治判断ではなく、専門家の意見もしっかり踏まえたものだ」と強調しました。
ところが同解析をみると発症8日目に16%が感染力のあるウイルスを排出しています。旧基準の解除日の11日目は3・6%で、大きな違いがあります。また解析には現在の主流株のBA.5は含まれていません。厚生労働省のアドバイザリーポードに7日、同資料を提出した感染研の鈴木忠樹氏は、「BA.5で同様の結果であるかどうかは不明」と注意喚起しています。
鈴木氏は終了後の記者説明で感染性ウイルスの残存リスクが高くなれば「他人に感染させるリスク」も高くなるとしたうえで、短縮は「従来のルールでの療養終了者よりも相対的に(2次感染を起こす)リスクが高い」としています。
京都大学大学院の西浦博教授は同会議に、「PCR検査で発病後7~10日でも2次感染を起こし得る十分なウイルス量が検出された」とする科学誌「ネイチャー」の知見を提出しました。終了後の説明では「7日間の療養というのは、今日までの科学的エビデンスをもとに定量的に許容可能な範囲を超えている。どうしても採用するならば政治的決断として実施することを明確にする必要がある」と厳しく指摘しています。
リスク周知を
政府はこうした専門知をあまりにも軽視しています。また、重大なのは療養期間短縮にリスクがあることを国民にほとんど説明しないことです。大きなミスリードになります。
感染大爆発を起こした第7波で死者は1日300人を超える日もあり8月は2月の1・5倍と過去最多を更新しました。医療者も感染し就業停止が増えるなか患者は激増、発熱外来はパンクしました。救急医療の危機的状態はいまだ解消されていません。介護現場は過去最多のクラスターで疲弊しています。療養期間短縮が感染再拡大の端緒になってはならない。
政府には科学的知見に基づく総合的な対策と、現基準におけるリスクと必要な感染対策の周知を求めます。BA.5のデータによっては短縮の見直しも必要です。
26日から陽性者の届け出の対象が全国一律で、高齢者や妊婦、入院が必要な人、重症化リスクがあり治療が必要と医師が判断する人に限定されます。検査を受けるべき人が受けないままになったり、発生届の対象にならない人が医療機関にアクセスしにくくなることがあってはなりません。治療が必要なすべての人が速やかに受診できる医療体制の構築へ、国の支援が必要です。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月26日付掲載
政府は、発症して8日目(7日間待機後)に約85%の人が感染力のあるウイルスを排出していないなどとする国立感染症研究所の解析を短縮の根拠。岸田首相は、短縮は「政治判断ではなく、専門家の意見もしっかり踏まえたものだ」と強調。
ところが同解析をみると発症8日目に16%が感染力のあるウイルスを排出。旧基準の解除日の11日目は3・6%で、大きな違いが。
また解析には現在の主流株のBA.5は含まれていません。
重大なのは療養期間短縮にリスクがあることを国民にほとんど説明しないこと。
経済活動を回すことを優先するあまり、感染リスクの拡大を軽視しています。
岸田自公政権は「ウイズコロナ」への移行策として新型コロナ感染症の療養期間短縮を7日から実施しました。有症状は従来の10日間を7日間に、無症状は検査での陰性確認を条件に7日間を5日間としました。これに医療現場から懸念の声が上がっています。全日本民主医療機関獲耳の増田剛会長に聞きました。(内藤真己子)
全日本民主医療機関連合会 増田剛会長に聞く
国民生活を守るためにワクチン接種や感染対策を進めながら経済活動を回すことは大事です。しかし今回の療養期間短縮は決め方が乱暴で、科学を軽視しています。
全日本民主医療機関連合会の増田剛会長
専門家は警告
政府は、発症して8日目(7日間待機後)に約85%の人が感染力のあるウイルスを排出していないなどとする国立感染症研究所の解析を短縮の根拠としています。岸田首相は、短縮は「政治判断ではなく、専門家の意見もしっかり踏まえたものだ」と強調しました。
ところが同解析をみると発症8日目に16%が感染力のあるウイルスを排出しています。旧基準の解除日の11日目は3・6%で、大きな違いがあります。また解析には現在の主流株のBA.5は含まれていません。厚生労働省のアドバイザリーポードに7日、同資料を提出した感染研の鈴木忠樹氏は、「BA.5で同様の結果であるかどうかは不明」と注意喚起しています。
鈴木氏は終了後の記者説明で感染性ウイルスの残存リスクが高くなれば「他人に感染させるリスク」も高くなるとしたうえで、短縮は「従来のルールでの療養終了者よりも相対的に(2次感染を起こす)リスクが高い」としています。
京都大学大学院の西浦博教授は同会議に、「PCR検査で発病後7~10日でも2次感染を起こし得る十分なウイルス量が検出された」とする科学誌「ネイチャー」の知見を提出しました。終了後の説明では「7日間の療養というのは、今日までの科学的エビデンスをもとに定量的に許容可能な範囲を超えている。どうしても採用するならば政治的決断として実施することを明確にする必要がある」と厳しく指摘しています。
リスク周知を
政府はこうした専門知をあまりにも軽視しています。また、重大なのは療養期間短縮にリスクがあることを国民にほとんど説明しないことです。大きなミスリードになります。
感染大爆発を起こした第7波で死者は1日300人を超える日もあり8月は2月の1・5倍と過去最多を更新しました。医療者も感染し就業停止が増えるなか患者は激増、発熱外来はパンクしました。救急医療の危機的状態はいまだ解消されていません。介護現場は過去最多のクラスターで疲弊しています。療養期間短縮が感染再拡大の端緒になってはならない。
政府には科学的知見に基づく総合的な対策と、現基準におけるリスクと必要な感染対策の周知を求めます。BA.5のデータによっては短縮の見直しも必要です。
26日から陽性者の届け出の対象が全国一律で、高齢者や妊婦、入院が必要な人、重症化リスクがあり治療が必要と医師が判断する人に限定されます。検査を受けるべき人が受けないままになったり、発生届の対象にならない人が医療機関にアクセスしにくくなることがあってはなりません。治療が必要なすべての人が速やかに受診できる医療体制の構築へ、国の支援が必要です。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月26日付掲載
政府は、発症して8日目(7日間待機後)に約85%の人が感染力のあるウイルスを排出していないなどとする国立感染症研究所の解析を短縮の根拠。岸田首相は、短縮は「政治判断ではなく、専門家の意見もしっかり踏まえたものだ」と強調。
ところが同解析をみると発症8日目に16%が感染力のあるウイルスを排出。旧基準の解除日の11日目は3・6%で、大きな違いが。
また解析には現在の主流株のBA.5は含まれていません。
重大なのは療養期間短縮にリスクがあることを国民にほとんど説明しないこと。
経済活動を回すことを優先するあまり、感染リスクの拡大を軽視しています。
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