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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

コロナ禍 中小企業のゆくえ① 倒産「抑制」も休廃業増

2021-10-08 07:04:25 | 新型コロナウイルス
コロナ禍 中小企業のゆくえ① 倒産「抑制」も休廃業増
新型コロナウイルス感染拡大で日本経済は深刻な影響を受けています。民間信用調査会社の東京商工リサーチ常務取締役で情報本部長の友田信男氏に中小企業の現状について聞きました。(小村優)

東京商工リサーチ常務取締役・情報本部長 友田信男さん

コロナ禍にあって、倒産件数は数字上記録的に減少しています。
政府の資金繰り支援である無担保・無利息のいわゆる「ゼロゼロ融資」が行われているためです。

増える過剰債務
一見コロナ対策はうまくいっているようにみえます。でも実態はそうではありません。
雇用調整助成金や持続化給付金などの支援による一時的なものでしかないからです。私たちの会社では、倒産は「抑制されている」とみています。
この先も倒産が減少していくかというと決してそうではありません。売り上げが落ち込んで借入金が増えています。その結果、中小企業は過剰債務に陥っています。
倒産は減少していますが、その一方で休業・廃業は右肩上がりに増えています。市場から撤退を迫られている中小企業がむしろコロナ禍で増えているということです。倒産にばかり目を奪われていると中小企業の実態というのはみえてこないと考えています。
企業の多い大都会にいるとさほど目につかないのですが、地方はいま人口減少と高齢化で疲弊が始まっています。地方経済を支える中小企業が衰退すれば、これらの問題に拍車をかけます。雇用が失われ社会保障の負担が増える恐れがあります。コロナ禍が続くと地方の疲弊が加速することになるのです。
廃業の内訳を見ると、コロナが直撃した飲食・宿泊・アパレルなどの業種で廃業を考えているところが多くなっています。おそらく「コロナが終息しても業績回復が見込めない」という判断が背景にあるのでしょう。



新宿駅付近の通りを歩く人々=東京都新宿区

地域雇用真剣に
「中小企業は小さいところが集まっているから生産性が低いんだ。生産性の低い中小企業は単独で生産性を上げるのは無理だから、ある程度集約して生産性を上げていきましょう」という人がいます。
単純にこれだけ聞くと「そうだよね。生産性が上がるから企業の統廃合はいいことだよね」と思われるかもしれません。
この議論は大都市では通用するかもしれません。でも、中小企業の大半が集まっている地方はどうなるのでしょう。生産性を上げるという時にまず大きなテーマになるのが、設備投資と人員削減ですよね。
仮に中小企業を集約するとなると余剰人員がでてきます。「生産性向上」というと聞こえはいいですが、農林水産業が衰退し、新しい産業が育っていない現状では、働き口が無くなってしまうことを意味します。
中小企業の強みは、大企業の大量生産に対して少量であっても多品種がつくれる、あるいは技術的に人の手がはいる強みがあります。生産性だけ求めていくなら日本から伝統工芸品がなくなってしまいます。生産性の効率化というのは一面的には正しいし、僕は全否定するつもりはありません。でも、これをすべてに当てはめるというのは問題だと考えています。地域、業種、規模を見ていかないといけない。日本は北海道から九州、沖縄まであります。東京や大阪の大都市だけの論理をあてはめても無理がきます。地方の雇用の問題というのをもっと真剣に考えていけば、「生産性が低いから集約して」などというような結論が簡単に出てくることはあり得ないのです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年10月5日付掲載


倒産は「抑制されている」…。その一方で休業・廃業は右肩上がりに増えている。
地方は、コロナ禍以前に人口減少と高齢化で疲弊が…。
中小企業の強みは、大企業の大量生産に対して少量であっても多品種がつくれる、あるいは技術的に人の手がはいる強み。
地方の雇用の問題というのをもっと真剣に考えていけば、「生産性が低いから集約して」などというような結論が簡単に出てくることはあり得ない。

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