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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

脱原発のドイツ 福島事故後に加速

2013-01-14 17:00:09 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
脱原発のドイツ 福島事故後に加速

ドイツの脱原発の現状と日本の動向について、脱原発世界会議参加のため昨年末に来日した独ベルリン自由大学教授のミランダ・シュラーズさんに聞きました。
聞き手・坂口明記者


ベルリン自由大学教授 ミランダ・シュラーズさん
=1963年、米国生まれ。独ベルリン自由大学環境政策研究所長。11年に独政府原発問題倫理委員会委員。邦訳書に『ドイツは脱原発を選んだ』『地球環境問題の比較政治学―日本・ドイツ・アメリカ』など。


ドイツは自然エネルギー普及度が高く、特に福島原発事故後ペースが強まっています。2012年6月末には電力の25%に達し、年間で23~24%の見込みです。福島後に脱原発を決めると、原発に投資する必要がなくなり、特に太陽光発電に投資が回っています。
福島事故後、17基あった原発のうち8基を直ちに止めましたが、この間に自然エネルギーは800万キロワット増えています。
自然エネルギーは01年には6~7%(水力を含む)でした。電力固定価格買い取り制度(FIT)や電力自由化などの適切な政策をとれば、10年間にかなり速く伸びることが確認できます。




FITは自然エネルギー立ち上げ時には大変重要です。今のように25%程度になった時には電力料金が高くなり、改善が必要です。自然エネルギーをどれほど分散化すべきか、国のどこで、どんな種類の電力をつくるかも議論になっています。
そういう議論はありながらも地域レベルの動きが速く、25%の地方が自然エネルギー100%を目標にしています。地域の人々の願いが大きな推進力になっています。
原発は、使用済み核燃料の処理のように倫理的にも大きな問題があります。私たちが生み出した問題は、自分の世代で処理すべきです。ドイツは地球温暖化防止のため、エネルギーだけでなく、運輸や暖房も含め、社会の制度全体を変えようとしています。



世界初とされる木製の風力発電機=2012年12月20日、ドイツ・ハノーバー(ロイター)

日本もビジョンをもって
日本の原発は今2基しか稼働していませんが、50基をどうするのか、政策はあいまいです。もしドイツで福島のような事故が起これば全原発をすぐ止めたでしょう。
私は1980年の留学から、日本に計5年間滞在しています。福島事故までは原発容認が大勢だったのが、事故後、脱原発が大勢になったと思います。しかし90年代から自然エネルギー推進のノウハウが蓄積されず、今後どうすべきか国民が不安なのは理解できます。
欧州は千年間も戦争が続いた地域です。エネルギー問題が戦争の大きな要因になってきました。
今の欧州連合(EU)ができた契機は、1952年の欧州石炭鉄鋼共同体の結成です。それ以降欧州ではユーゴ戦争以外に戦争はなく、互いに協力する政策ができました。各国の協力を基本として将来をつくり、そこに投資すべきです。
今の日本を見て心配なのは、中国や韓国などとの関係です。また米国が日本に圧力をかけているのは、今までの戦争政策を続けるためでしょう。日本は米国に頼り過ぎているのではないでしょうか。
日本の特徴の一つは憲法9条を持っていることです。それをうまく活用すればいいと思います。それに基づいて、軍事的でないビジョンを持つ。
安全に住め、教育水準の高い、生活の質の高い国をめざすという道です。
今は原油輸入のためにものすごいお金を外国に払っています。自然エネルギーにもっと力を入れると、投資は国内に回ってきます。
ドイツがうまくやっていると思うのは、外交の力で各国の協力関係をつくり、世界のいろんな問題に、協力によって対処している点です。

「しんぶん赤旗」日曜版 2013年1月13日付掲載



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